パナマ運河の水不足問題、解決策には多額の費用 いずれの選択肢も、実行には何年もかかる見通し
パナマ国民が団結して大規模なインフラ構想に反対するのは、今回が初めてではない。昨年、政府がファースト・クァンタム・ミネラルズの100億ドル規模の銅鉱山操業を維持しようと急いだため、デモ隊による道路の封鎖が定期的に行われた。当局はその後、多くの人々が生態学的災害と見なす同プロジェクトを閉鎖すると発表している。
エリザベス・デルガドさん(38)は、インディオ川に向かう道路沿いの家に住んでいる。貯水池が建設されれば、真っ先に水没する家の一つだ。大嵐の時、インディオ川はデルガドさんのペンキも塗られていない木造の家まで数メートルのところまで増水する。米やプランテン、キャッサバの栽培で生計を立てているデルガドさんは引っ越すつもりはない。
「どうすればいいのかわからないような他の場所で、どうやって生き延びろというのか。立ち退きを求められたが、私たちはこの土地で生きていくつもりだ」と語る。
一部の海運業者が示すい立ち
もう一つの解決策は、明らかにより実験的なものだ。昨年11月、米ノースダコタ州を拠点とするウェザー・モディフィケーションが運用する小型飛行機がパナマに到着した。雨粒の「シード(種)」を雨雲の中に散布することで人工的に雨を降らせる「クラウド・シーディング」と呼ばれるプロセスを試すためだ。
しかし、クラウド・シーディングの成功例は、パナマのような熱帯の国ではなく、乾燥した気候の国がほとんどだ。
一部の海運業者は、水位低下の問題に対する運河庁の対応が遅すぎるといら立ちを示している。
オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)のジェレミー・ニクソン最高経営責任者(CEO)は、パナマのコルティソ大統領への書簡で「パナマで真水供給を増やすための重要なプロジェクトは一つも前進していない」と指摘。「ONEとして、そして当社の顧客を代表して、直ちに緊急対策が講じられることを心から願っている」と訴えた。ブルームバーグが書簡の内容を確認した。
パナマ大統領府に同書簡についてコメントを求めたが、返答はなかった。
原題:Fixing the Panama Canal Hinges on Expensive and Divisive Gamble(抜粋)
--取材協力:Hayley Warren.
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著者:Peter Millard、Michael D McDonald
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