新大河「光る君へ」平安&戦なしでも勝算大アリの訳 「異例中の異例」でも期待できるこれだけの要素
さらに下級貴族で庶民に近い身分のまひろが、道長や上級貴族との出会いによってどう変わっていくのか。道長の妻・源倫子(黒木華)や源明子(瀧内公美)らとのやり取りも含めて、大石さんの脚本らしい羨望と嫉妬、希望と絶望などの複雑な感情が描かれるでしょう。
平安貴族のイメージを覆す醜さ
実際、大石さんの過去作を振り返ると、打算の結婚生活を描いた「おとなの選択」(TBS系、1992年)、婚約者の死と妊娠・出産を描いた「私の運命」(TBS系、1994年)、初恋の人であり姉の婚約者との禁断の恋を描いた「First Love」(TBS、2002年)、17歳年下男性との不倫を描いた「セカンド・バージン」(NHK総合、2010年)、殺人事件をめぐる許されざる恋を描いた「コントレール~罪と恋~」(NHK、2016年)、母親3人の新たな恋と家族を描いた「恋する母たち」(TBS系、2020年)などがありました。
これらの感情描写は、そのまま「光る君へ」のまひろと道長らに置き換えられそうなものも多いだけに視聴者の興味を誘いそうです。
一方で「源氏物語」そのものを映像化することはせず、光源氏も登場しません。まひろが経験していく出来事の中に、「なぜあのような物語や人物を書いたのか」という創作へつながるエピソードを織り交ぜていくようです。
もちろん大河ドラマである以上、描かれるのは主人公の人生だけではなく、もう1つの見どころは時の政治と社会。決して華やかではない貴族たちの権力闘争と出世争い、身内同士の軋轢と謀略など、三男ながら道長が時の権力者となり得た過程が描かれるようです。
平安時代の貴族と言えば、「色鮮やかな装束に身を包んで、連日宴を開き、恋や芸術に明け暮れる」。そのため、「気取ってお高くとまっている」「悠々自適でのんびりとしている」というイメージの人が多いのではないでしょうか。
しかし、そこは人間の業を描き続けてきた大石さんの脚本。表向きは平静を装っていても、腹の底ではドロドロとした感情を抱え、とんでもない行動を起こしてしまう……。そんな美しさと醜さを併せ持つ人間模様を見せて貴族のイメージを覆すことが期待できそうです。
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