新大河「光る君へ」平安&戦なしでも勝算大アリの訳 「異例中の異例」でも期待できるこれだけの要素
しかし、それでも平将門(加藤剛)が主人公の「風と雲と虹と」(1976年)に次いで2番目に古い時代で、しかも「歴史的な戦がない」「貴族社会を扱う」という物語は異例中の異例。視聴者が見慣れていないほか、スタッフとキャストにとって大きな挑戦であることは間違いありません。
「ほぼゼロから作る」最大級の挑戦
時代が古くなれば、それだけ史料が少なく、ストーリーの構成はもちろん演出や美術の難易度も格段にアップ。長年培ってきた大河ドラマの経験やノウハウは通用せず、新たな時代・風俗考証が必要となるほか、既存のセットや美術などはありません。「ほぼすべてをゼロから作る」という意味では近年で最大の意欲作と言っていいのではないでしょうか。
特に、戦だけでなく、大きな事件も少ない。それどころか、ほとんど知られていない人物と社会のストーリーを手がける脚本家は、「光る君へ」の成否を左右する最大のキーパーソン。その点、女性の人生を描くことでは技術・実績ともに最高峰の脚本家・大石静さんが脚本を担うことが何よりの品質保証になるでしょう。
軸になるのは、紫式部こと、まひろ(吉高由里子)と「光源氏のモデルの1人」と言われる藤原道長(柄本佑)の物語。幼いころの出会いから、恋心の芽生え、身分差で結ばれないのに引かれ合う……時の権力者と流行作家という立場の違いを越えて生涯のソウルメイトとなっていく様子が描かれるようです。
注目は、平安時代らしい恋心のやり取り。たとえば、和歌や漢詩で想いを伝え合うシーンは、切ない思いを短い文章に込める分、抱き合う以上に強い愛情を感じさせられるでしょう。「和歌も漢詩も得意ではない」という道長がまひろに思いを届けようとして、どんなものを送るのか。LINEなどのメッセージで思いを伝え合う現代の人々にも通じるところがありそうです。
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