今年は人手不足倒産が加速?「2024年問題」の要諦 企業が取り組んでいる施策は根本解決には遠い

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206件という人手不足倒産の件数は、増えたといっても年間の倒産件数約8500件(東京商工リサーチの2023年見込み)の3%足らず。「人手不足倒産が多発し、世も末」というのは、マスコミが勝手に煽り立てているイメージにすぎないのでしょうか。

そうとは限りません。宿泊・飲食・医療といった若い労働力に依存している業種では、倒産しないまでも、すでに人手不足によって事業運営が制約されるという事態に陥っています。また、業種に関係なく、多くの中小企業経営者が人手不足を問題だと認識しています。

「昨年後半から、訪日外国人を中心に客足がかなり戻りました。ただ、アルバイトを確保できず、コロナ前よりも営業日数・営業時間を短くしています。お客様から『最悪期を脱して良かったね』とよく言われますが、人件費や材料費の高騰もあり、採算的には厳しい状態が続いています」(飲食店)

「企業や自治体からのAI関連案件の引き合いが堅調です。ただ、スキルの高い技術者が不足し、利幅の大きい優良案件に対応することができず、せっかくの好機を生かせていません。当社では人が成長のボトルネックになっています」(ITサービス)

そして今年は、コロナ禍とデフレからの完全脱却が実現すれば、労働需要が増え、人手不足が深刻化します。長期的にも、少子化の影響で若い労働力が激減します。人手不足はまだ序の口で、これからが本番だと覚悟するべきでしょう。

AIの活用で問題は解決するのか?

では、企業は人手不足にどういう対策をしているのでしょうか。いま、多くの日本企業が次のような対策に取り組んでいます。


① 無駄な業務の廃止
② 非中核業務のアウトソーシング
③ ロボット活用による省人化
④ AI活用による業務効率化
⑤ 教育投資による生産性向上
⑥ 採用の強化(とくに女性・高齢者・外国人)
⑦ 給料など待遇の改善
⑧ 働き方の改革
⑨ 職場環境の改善

人をできるだけ使わないための対策が①②③④⑤、人を確保するための対策が⑥⑦⑧⑨と分類できます。とりわけ進化が著しいAIの活用や教育投資は、重要なポイントでしょう。

という話を筆者もここ数年クライアントにしてきましたが、正直なところ、あまり反応がかんばしくありません。「こうした対策を取っても人手不足の問題は解決しないのでは?」と思われるているようです。

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