日本の大企業が「辞めた人」活用し始めた納得理由 ネットワークを作ることで得られるメリットとは?

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「今までは離職や休職をキャリアのブランク、空白と呼ぶ人もいましたが、ライフキャリアと考えれば、人生に空白なんてない。今を生きている瞬間はすべて大切で、手放したり、準備したりする期間もすべてキャリアだ」という石山先生の言葉には、キャリアブレイクが肯定されたような気持ちになりました。

キャリアブレイクのように、自分がやりたいことを考える期間は、個人にとっても企業にとっても大切だと、石山先生は語ります。

「やりたいこと探し」の結果が、たとえば弁護士になりたい、海外で活躍したいといった、外見的なものへの比重が大きくなると、そういったことを見つけられない人たちが苦しんだり、自信を失うことがあります。

自分の「キャリア」は自分の「価値観」で決める

最後に、石山先生からキャリアに悩む人へのアドバイスもいただきました。

『仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢 次決めずに辞めてもうまくいく人生戦略』(KADOKAWA)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「自分の内なる価値観に従って、自分のキャリアを考えること。自分がどんなことに動機づけられるのかが大切であり、それは人生の経験でどんどん変わっていく。

就職する22歳のときに思いつかないことはおかしい訳ではなく、そのあとの経験でどんどん変わっていく。

人生の中では、たえず、自分の価値観を見出だす時期もあるし、それが見えない時期もある。どんどん変わるので、考え続けることが大切」

こういった個人のやりたいことや内なる価値観について、わがままだと抑えつける企業もありますが、このエネルギーを活かそうとする企業もあり、そんな企業はこれから増えていくのかもしれません。

北野 貴大 一般社団法人キャリアブレイク研究所、代表理事

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きたの たかひろ / Takahiro Kitano

大阪市立大学卒。2014年、JR西日本グループに入社。JR大阪駅ビルの「ルクア大阪」をはじめ商業施設の企画マーケティングに従事。2022年、企画マーケティングを行う合同会社パチクリを起業・独立。2022年10月に、一時的な離職休職を肯定的に捉える「キャリアブレイク」という欧州の文化を輸入する一般社団法人キャリアブレイク研究所を設立。「月刊無職」の発行、オンラインコミュニティ「むしょく大学」や「無職酒場」などの活動、また法政大学大学院の石山恒貴教授と共同研究を行なっている。

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