浜岡停止の追加燃料費は必ず国に負担させる--愛知県知事 大村秀章
すると菅総理は、絶対にドミノ倒しにはならない、浜岡だけは今後30年で87%の確率で起こる東海地震の震源域にあるから止めるのであって特別だ、とおっしゃった。浜岡停止後の電力安定供給についても、国として万全の支援を行う、と強調した。にもかかわらず、言いっぱなしにして、あとのことはもう知らない、責任を取らないという態度だ。いったいどうなっているのか。
電力料金が上がれば産業が成り立たない
──そもそも中電が首相の要請を拒否すればよかったとは考えられませんか。
中電の伊藤範久副社長に5月8日にここ(県公館)に来ていただき、お話をしたが、拒否できるような性格のものではない、ということだった。原発は13カ月に1回、法定点検を義務づけられている。国がOKを出して初めて動かすことができるのが原発。電力会社は、立場的に国からの要請を拒否することはできない。当然、菅総理も断れないことを承知のうえで要請したのだろう。
--中電は、電力料金を据え置くと言明しています。その場合、地元負担にならないのでは。
中電には積立金が7000億円(編集部注:原価変動積立金と別途積立金の合計が3月末時点で7080億円)あり、これを取り崩せば、増加する燃料費は十分に吸収できる。しかし、7000億円は自由に使っていいカネではない。公益事業である以上、利用者のために使うべきものだ。浜岡の津波対策に300億円必要だが、それ以外にも発電所や送電網などの耐震工事をしていかなければならない。
しかも浜岡停止により燃料費が増加するのは、今年度だけではない。燃料費増を中電がかぶってしまえば、そう遠くない将来、電気料金引き上げという形で、中部5県の産業界や県民がかぶることになる。