ドクターイエロー引退?新幹線「N700S」の後継車 自動運転や検測機能搭載の「新型」2028年登場?
一方で自動運転は乗務員の役割も変えることになる。運転士は負担が軽くなる分、現在車掌が行っているドア開閉を受け持つ。車掌はドア開閉の業務がなくなるが、人数は減らさない。旅に不慣れな乗客のサポートを手厚くしたり車内セキュリティー向上のため巡回を強化したりすることが新たな車掌業務として検討されている。
なお、昨年10月末には「のぞみ」の車内ワゴン販売が廃止され、パーサーの人数が3人から2人に減った。一方で、近年は警備員が乗車して車内を巡回するなど、乗務員の役割が大きく変わりつつある。自動運転が導入されれば、パーサー、警備員、車掌を含めた人数やその役割分担が抜本的に見直される可能性もある。
では、自動運転の導入時期はいつか。JR東海の新幹線鉄道事業本部の辻村厚・本部長は「2028年にはN700タイプの列車に自動運転システムを搭載し営業運行したい」と語る。
この2028年は今後を占うカギだ。JR東海発足後に初めて造られたのは1992年に運行を開始した300系で、その7年後の1999年には700系、その8年後の2007年にはN700系が投入されている。N700系という名前だけ見ると700系のマイナーチェンジのように思われるが、実際にはフルモデルチェンジ。性能面では車体傾斜システムを搭載したことで、曲線区間でも速度を落とすことなく東海道新幹線の当時の最高速度である時速270kmで走行できるようになり、東京―新大阪間の運行時間は最大5分短縮された。
6~8年おきに新型車両が登場
6年後の2013年にはN700Aが投入された。外観はN700系とほぼ同じだが、ブレーキ性能の向上によりブレーキをかけてから停止するまでの距離がN700系と比べて約10%短縮、車体傾斜装置も改善して乗り心地も向上した。また、既存のN700系も改造してN700Aで採用された新機能のいくつかが搭載されている。2015年には東海道新幹線の最高時速が285kmに引き上げられている。
2020年にはN700Sが営業運転を開始した。床下機器を小型化して配置を集約化したことで、基本形である16両編成から8両、6両への短編成化が容易になった。また、床下機器の小型化によって余裕が出たスペースにリチウムイオンバッテリーを搭載し、停電などによりトンネル内や橋梁上などリスクがある場所でやむをえず停止したとき、バッテリーを使って安全な場所まで自走することが可能となった。
車内も全席にコンセントを設置したほか、静謐性も向上させた。このようにJR東海は6~8年おきに東海道新幹線に新型車両を投入してきた。
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