ドクターイエロー引退?新幹線「N700S」の後継車 自動運転や検測機能搭載の「新型」2028年登場?
この日は浜松―静岡間を「自動運転」する走行試験が行われた。鉄道の自動運転は古くから行われているが、新幹線での営業運転の例はない。JR東海が目指すのは国土交通省の分類で「半自動運転」と呼ばれるもので、運転士が発車操作を行うと、その後の速度調整や駅での停車はすべてシステムが担当する。
浜松駅を出発した列車はぐんぐんスピードを上げ時速200km超で走行。その後は加減速を繰り返す。自動運転システムは線路のカーブや起伏、天候、省エネ性などを加味し、目的地までの距離や必要な速度をリアルタイムで計算し速度を調整しているのだ。
静岡駅には予定より2秒早く到着した。東海道新幹線は発車時刻や到着時刻を15秒単位で定めており2秒早着は十分合格点。係員が列車の停車位置を計測すると、所定の位置から0.9cm手前だった。停車位置は、所定位置から±50cmの範囲で停車するのが目標で、これも合格点である。
乗り心地についても加速も減速もスムーズで運転士による手動の運転と違いはないように思える。自動運転システムによる運転だと言われなければ、乗客はわからないだろう。
自動運転列車に運転士が乗車する理由
新幹線の自動運転システムの開発に取り組んでいるのはJR東海だけではない。JR東日本は上越新幹線の新潟駅と新潟新幹線車両センターを結ぶ約5kmの区間で回送列車を使った自動運転の試験を実施しており、2020年代末に同区間の回送列車の完全無人運転、2030年代半頃には東京―新潟間における営業列車のドライバーレス運転を目標とする。
ドライバーレスは運転士資格を持たない係員が運転席に座り、安全確認やドア開閉を行うというもの。確かに運転を機械に任せるなら、運転席に座るのが運転士である必要はない。
JR西日本も2022年度から北陸新幹線白山総合車両所の敷地内で自動運転機能の要素技術開発として実証実験を実施している。JR東日本とJR西日本は協力して自動運転の実現に向けたシステム開発やコスト削減の検討を行うとしている。
JR東日本が運転士ではない係員が運転席に座るのに対して、JR東海は運転士が乗車することにこだわる。その理由は、運転士が乗車しているほうが異常時における手動運転への切り替えなどの対応を迅速に行える、と考えているからだ。東海道新幹線は運行本数が多いだけに、異常時の後に短時間で通常ダイヤに戻せれば、混乱の影響を最小限に抑えることができる。
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