「顧客ニーズに応える」だけの会社は時代遅れな訳 UberやNetflixは何が革新的だったのか
もう少し具体的にいうと、今の時代は、顧客がまだ気づいていない課題を、顧客が納得いくかたちで「言語化」することから始める必要があるのです。ライドシェアの「Uber(ウーバー・テクノロジーズ)」や「Lyft(リフト)」を例に考えるとわかりやすいでしょう。
「顧客が望むこと=正解」ではない
当時の顧客のニーズは、「より早く、安く、目的地に行きたい」というものでした。これを鵜呑みにすれば、新たに台数の多いタクシー会社を興すだけになります。しかし、この「早く、安く」というニーズを深く掘り下げて、「ライドシェア(相乗り)」というサービスを展開したのが、Uberであり、Lyftでした。
運転するのは普通の市民ですから、新たにタクシーを増やさなくても膨大な数の運転手付きの車が市場に増えたことになります。また、現在地や目的地がアプリ上にアップされますから、タクシーと同様に利用できるうえ、ライドシェアで安価ということで、車社会のアメリカで一気に広まったのです。
これらの企業は、顧客のニーズを抽象化して本質をつかみ、そのうえで汎用的な解決方法を提案しました。だからこそ、顧客はその提案を熱狂的に受け入れたのです。
つまり、顧客が実現してほしいと望んでいることが、そのまま答えではないということ。正しく言い換えるなら、顧客がいっていることは正しいとは限らないが、確かなニーズは顧客の中にあるということなのです。
かつては社員30名ほどの、ウェブサイトによるDVDレンタルサービスを行っていた「Netflix」は、いまや世界中で利用される動画配信サービス会社となりました。そのきっかけとなったのが、「15ドルで借り放題、送料も延滞料金もなし」というサブスクリプションサービス(マーキー・プログラム)を始めたことでした。
これは、かつて自分がDVDの返却を忘れ、多額の延滞料金をとられたことを不快に思った創業者のアイデアでした。
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