トヨタが路線修正に布石、国内生産の死守も限界

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トヨタが国内生産300万台を維持するうえでの前提は、最大の収益源となる米国市場での販売回復だ。12年にかけトヨタはハイブリッド車の大量投入を計画しているが、その根には高付加価値な車の対米輸出で稼げれば、国内の生産基盤は維持できるとの戦略がある。

米国でシェア急落

だが、1ドル=80円を突破するような円高水準では、ドイツ車や韓国車との競争が極めて厳しくなる。15%台が定位置だった米国でのシェアは足元では10%まで低下した。猛追する韓国・現代自動車との差は紙一重だ。

国内外の位置付けも変容を迫られている。為替の影響をもろにかぶる単独決算は、前期に4809億円の営業赤字を計上。今期も4000億円もの営業赤字が続く見通しだ。技術開発を重視するトヨタでは今期も7600億円の研究開発費を見込んでいるが、そのうち6600億円をトヨタ単体が支出する。稼ぎがないのに負担だけが重いという構造の維持は難しい。

大きな方針転換を迫られる日が近づくトヨタ。経営陣の“演出”はそのための雰囲気づくりの一環だろう。

◆トヨタ自動車の業績予想、会社概要はこちら

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(撮影:風間仁一郎 =週刊東洋経済2011年6月25日号

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

西村 豪太 東洋経済 コラムニスト

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にしむら ごうた / Gota Nishimura

1992年に東洋経済新報社入社。2016年10月から2018年末まで、また2020年10月から2022年3月の二度にわたり『週刊東洋経済』編集長。現在は同社コラムニスト。2004年から2005年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。著書に『米中経済戦争』(東洋経済新報社)。

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