宝くじ「高額当せん続出」という売り場のカラクリ 「出る」と噂の売り場に並ぶ価値はあるのか
これを見て高いと感じるでしょうか、低いと感じるでしょうか。過半数の人は「結構高いな」と思うはずです。その理由は、平均値の計算の仕方にあります。 平均値は、全部の数字の合計を足した回数で割った数で、そのグループ全体を要約することを目的として使われます。
飛び抜けた一部のデータを指す「外れ値」
例えば、以下のようなデータがあったとします。
〈年収の平均値の出し方〉 年収データ:300万円・400万円・500万円・600万円・800万円・1000万円・2000万円(計7データ)
(300万円+400万円+500万円+600万円+800万円+1000万円+2000万円)÷7=800万円
7つの年収データの平均値は、800万円になります。しかし、人数でみると800万円より少ない人が4人、800万円よりも多い人が2人です。7人のうち、過半数の4人が平均に満たないのです。これは、2000万円という高所得者のデータが入っていることによって、そのグループ全体の数値が底上げされているからです。
このように、飛び抜けた一部のデータのことを「外れ値」といいます。平均値は、外れ値の影響を受けると「だいたい真ん中にくる値」にはならないことに注意してください。
「だいたい真ん中にくる値」は、「中央値」で算出します。
〈年収の中央値の出し方〉 年収データ:300万円・400万円・500万円・600万円・800万円・1000万円・2000万円(計7データ)
7データを順に並べ、真ん中にくる600万円が中央値です。年収などの場合、大多数の感覚に近いのは、平均値ではなく中央値です。中央値は、小さい順から大きい順にならべて、その真ん中にくる値になります。外れ値の影響を受けにくいので、大多数の感覚に近い数字として表すことができます。ちなみに、給与所得者全体の年収中央値は350万~360万円程度です。
宝くじの還元率が約50%と聞いて「そんなに戻ってくる感覚がない」と思うのは、還元率が高額当せんなどの外れ値を含めて計算された平均値だからです。そのため、宝くじを買ったことのある大多数の人の感覚としては「もっと少ない」と感じるはずです。
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