「年末で忙しいから」栄養ドリンク飲む人のリスク よかれと思って飲んでいる飲料に潜むワナ

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表示指定成分とは、皮膚炎、アレルギー、がんなどを起こす可能性があるとして、旧厚生省(現・厚生労働省)がリストアップした化学物質で、全部で100種類以上あります。それらが化粧品や医薬部外品に含まれていた場合は注意喚起のために表示が義務付けられているのです。

前述したとおり、栄養ドリンクの多くは指定医薬部外品に該当します。もともとは医薬品に分類されていたものの一部が、規制緩和により指定医薬部外品となり、コンビニやスーパーなどでも購入できるようになったという経緯があります。

ですので、冒頭でお伝えした通り体に危険な化学物質が入っている商品を避けるために成分や添加物をチェックしてほしいのですが、表示指定成分は特段太字になっていたり、目立つように表記したりするという縛りはないため、消費者の私たちが知識を持っていなければ、その注意喚起が埋もれてしまうという恐ろしさがあるのです。

「安息香酸Na」の恐ろしさ

栄養ドリンクによく使用される表示指定成分・安息香酸Na(ナトリウム)の話に戻りましょう。安息香酸Naは栄養ドリンクに使われるほか、食品添加物として清涼飲料水や醤油などに使用されています。また、防腐剤として化粧品にも使用されている成分です。

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安息香酸Naは毒性が強く、2%および5%を含むえさをラットにあたえ、4週間飼育した実験では、5%投与群がすべて過敏状態、尿失禁、けいれんなどを起こして死んでしまいました。栄養ドリンクに添加されている安息香酸Naの濃度はもっと低いですが、こういった成分を摂取して体に悪影響が出ないのか、やはり心配されます。

また、安息香酸Naは、ビタミンCなどと化学反応を起こし、人間に白血病を引き起こすことが判明しているベンゼンという物質に変化します。2006年3月には、イギリスで清涼飲料水に添加されていた安息香酸(安息香酸Naの類似物質)とビタミンCが反応してベンゼンができていたため、製品が自主回収されるという事件がありました。

こういった不安をなくすためにも、栄養ドリンクを購入する際は、安息香酸Naが添加されていないものを選ぶようにしましょう。例えば、「オロナミンC」は炭酸が入っており、防腐効果があるので安息香酸Naは入っていません。

渡辺 雄二 科学ジャーナリスト

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わたなべ ゆうじ / Yuji Watanabe

1954年生まれ。栃木県出身。千葉大学工学部合成化学科卒業。消費生活問題紙の記者を経て、1982年にフリーの科学ジャーナリストとなる。食品・環境・医療・バイオテクノロジーなどの諸問題を消費者の視点で提起し続け、雑誌や新聞に精力的に執筆し、現在にいたる。

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