半端ないかゆみ!忍び寄る「トコジラミの恐怖」 インバウンドだけ目の敵にすれば解決する?
皮膚科では、症状の出現時期と、最近の行動歴を問診し、刺し口の分布などを総合的に判断して、トコジラミらしいのか否か、を判断することになる。幸い、トコジラミは吸血によって感染症を媒介することはない。一方、ダニの場合はライム病、日本紅斑熱やダニ媒介脳炎、重症熱性血小板減少症候群などを媒介することがあり、注意が必要だ。
治療はかゆみ止めの軟膏や内服薬、市販されているものより強力な副腎皮質ステロイド軟膏での治療が主となる。かゆみで眠れない、痒くてかき壊してしまうようなケースもある。1〜2週間ほどで刺し口の赤みが次第に褐色に変わり、腫れが引いて治っていく。
虫よけのディートやイカリジンが有効であり、皮膚の露出部に塗って眠ることでトコジラミによる虫刺されを防ぐことができる。私は、ディートはまれに皮膚のかゆみを生じることがあり、子どもにも使いやすいイカリジンを勧めることが多い。スプレータイプよりは、液体を皮膚に塗りつけるタイプのほうが、スプレータイプより皮膚への有効成分の付着が多いことが知られている。日本国内で販売されているイカリジンの最高濃度は15%で、濃度と作用の持続時間が比例するので、一晩しっかり予防したいのであれば、15%の製品を使うといい。
トコジラミを持ち帰らないために
旅先からトコジラミを持ち帰らないためには、ホテルではカバンや衣服を大きなビニール袋に入れて保管するのがいい。また、ベッド周りに衣服を置いておくと、吸血のために出てきたり戻ったりする際に衣服にトコジラミが付いてしまうので、注意すべきだ。
もし、自宅にトコジラミを持ち帰ってしまったら、部屋の隅々まで探して有効な殺虫剤を噴霧したり、くん煙剤といって、部屋中に殺虫剤の成分を行き渡らせるような薬でトコジラミを殺すしかない。それでも駆除できず、繰り返し刺されるような場合は専門の業者に依頼することになる。とにかく持ち帰らないことが大切だ。
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