ディーン・フジオカ、鬼気迫る演技の裏にある思い 「正直不動産2」ではタップダンスも

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――ハハハハ。嬉しい感想です。神木は最も難産だったこともあり、個人的に思い入れの強いキャラクターなんです。おっしゃっていただいたように狂気をはらんだ人物をどう描いたらいいか悩み、最終的にタップダンスを踊らせることにしました。ただ、先ほどディーンさんがタップの猛練習をされている姿を見て、僕が神木にタップを踊らせたばっかりにと少し申し訳ない気持ちになりました。そもそも不動産の営業がタップを踊るって冷静に考えると……。

フジオカ:ハハハハ。僕は神木がタップをすることをすんなり理解できましたね。原作を読み進めていくと踊るきっかけがわかる構成になっていますよね。ストーリーテリングとして、キャラクターが「僕、狂気をはらんでます」とせりふで言ってしまったら台無しなわけで。では、どうしたらと考えた時、身体表現であるタップダンスをチョイスされたのはすごい洗練された表現方法だなと。神木にとってタップは解消できない葛藤や孤独を、熱を込め足で地面に叩きつけるという行為でもあるわけですから。

もちろん神木の言動は、一般的な社会通念とはズレが生じています。それでも、そこに自分の生きている目的や存在意義があり、深掘りしていくと神木にとっての正義や真実というものが見えてきます。キャラクターのビルドアップとして、タップはすごく練られた設定だなと思いました。

ディーン・フジオカさん

――原作をかなり読み込んでいただいているようで嬉しいです。

フジオカ:非常に興味深く読ませていただきましたね。このインタビュー前の雑談で、最初は桐山を主人公にしたシリアス路線の作品を想定していたが、急遽180度方向転換して永瀬を主人公に据え、コメディー要素を取り入れたという経緯をお聞きしました。そうお聞きして、より作品の解像度が上がりましたし、腑に落ちた部分が大きいです。当然、世の中のすべての不動産屋が悪徳なわけではないですし、不動産屋はビジネス、なりわいとして正当な対価をもらうべきです。ただ、そのために守らなければいけない矜持のようなものがあり、その幅は人それぞれ。そして、明らかにその幅から逸脱している悪徳不動産屋がいるのもまた事実。どういう伝え方が正しいのか難しいんですが、だからこそ『正直不動産』はリアルだなと思いました。

シリアス路線で全編真実を突きつけ続ける作品であったら、あまりに痛すぎる。そこに主人公の永瀬が一欠片の救いとして存在するコメディーに見せているからこそ届けられたり、切り込める真実があると思うんです。だからこそ一番生々しいリアルをいち読者として追体験できていると感じ、自分は読んでいてすごくエキサイティングでした。

不動産に関する勉強にもなるので本当に価値のあるコンテンツだなと。原作サイドの方を前に偉そうに語ってしまいすみません(笑)。

山下くんは人生を楽しんで生きている

――出演にあたり、シーズン2から参加する難しさはありましたか?

フジオカ:山下(智久)くんとは初めて共演させていただくんですが、(高橋)克典さんとは何作品もご一緒させていただいていますし一切難しさは感じません。役者のみならずスタッフさんを含め、皆さんプロで、「いい作品を作るためにここにいる」というブレない強い意志を持っているので、居心地の良さしか感じない現場ですね。

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