「前回のデートのときに、アイドルグループが好きだという話をしてくださったんですね。そしたら、この間のランチをご一緒したときに、『今日は夜、コンサートに行くんですよ。今全国ツアー中で、地方公演のチケットも取ってあるんです』っておっしゃって」
その話をするこうじの顔が、いつにも増して生き生きしていたという。そして、全国ツアー中のアイドルグループの地方公演にも追っかけていくので、2度目のデート以降、週末会うことができなくなった。
「この方、本当に結婚したくて婚活をしているのでしょうか。交際終了でお願いします」
人の趣味は、それぞれだ。没頭できる趣味があるシニアは、隠居はせず確かにアクティブかもしれない。
娘や孫の年齢のグループが好きで、そのなかのメンバーを推しにして、コンサートに行くのは何も男性だけではない。女性も若いアイドルが好きだったり、韓流スターや歌舞伎役者にハマっていたりして、そこに時間やお金を費やしている人たちがいる。
だが、それが過ぎるとそちらを優先させてしまう。推し活だけではない。ウインタースポーツが好き、マリンスポーツ好き、ゴルフ好きなど、趣味に没頭して婚活をなおざりにすると、婚活での結婚は難しい。
シニアの婚活で求められるもの
こちらは、婚活がうまくいったケースだ。
よしお(66歳、仮名)がやすこ(63歳、仮名)と成婚を決めた。よしおは、上場企業を退職後、年金生活を送っていたのだが、長男に続き、長女が結婚したことで、自分のこれからの人生を考えるようになった。
年金生活ではあるが、持ち家があり、貯蓄もかなりある。そんな男性は、60代でも婚活市場では人気なので、よしおはスムーズにお見合いが組めていた。しかし、6人目のお見合いを終えたときにこんな感想を漏らした。
「今の50代後半、60代の女性に、おしゃれできれいな人が多いのでびっくりしました。美魔女っていうんですかね。ただ、きれいに着飾ってブランドバッグを持ってくるような女性は、皆さんプライドが高くて、強気な発言をする人が多いし、行く店にうるさい」
さちこ(59歳、仮名)とお見合いしたときのことだ。約束の時間に落ち合い、近くにあったファミレスに入ろうとしたら、彼女が足を止めて言った。「もしかして、ここでランチですか? やだ、婚活でファミレス連れて行こうとした人、初めてですよ」。
よしおは慌てて、「それはすいませんでした。このへんでどこか、いいお店は知りませんか?」と尋ねた。さちこは、何度か行ったことがあるという路地裏にある小洒落た一軒家のレストランによしおを連れて行った。
その後、さちこからは“交際終了”が来たのだが、そのランチの席で、よしおは婚活の仕方をしっかりレクチャーされたという。
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