「20代社員に助言請う」外資経営者、その"深い"意図 若手に学ぶ「逆転の発想」で新たな視点を得る

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今まで数百社の方とお話しさせていただくなかで興味深かったのは、多くの場合、若手社員は面白い「問い」やアイデアを思いついても、上司や年代の離れた先輩とは共有していないということです。

「こんなことをしてみたらどうだろう?」「こんなことができるんじゃないか?」ということを思いついていても、それにふたをしてしまっています。なぜかと聞いてみると「そもそもその価値を理解してもらえない」「茶化される」「実際に起きている現象を見ていないので、その機会(アイデア)に共感してもらえない」といった回答が返ってきました。組織の文化としてはまずい状態です。

しかも、実際にそのアイデアの内容を聞いてみると、どれも面白い話ばかりでした。

上司に共有されなかった家電のアイデア

例えば数年前「June」というスマートオーブンが話題になったことがあります。これは1500ドルもする高級オーブンなのですが、カメラが内蔵されていて、画像認識で材料や料理、さらには焼き具合も自動認識して調整してくれるというものでした。また、カメラ機能の副産物として、食材が焼けていくところを動画として残し、SNSでシェアすることもできます。

それを見たある日本の電気メーカーの若手社員は、SNSをはじめさまざまなところで「調理ビデオ」が流行りはじめていたことにも着目していたため、「人は料理の完成形だけではなくその過程も見せたいんじゃないか?」と考え、さらには「どうすれば自分の調理過程を他人と共有したくなるようなカタチで残すことができる家電をつくれるだろうか?」ということを考えていたのです。

ところが、彼がこれを社内で共有することはありませんでした。その大きな理由は「食べ物や料理をする過程をオンラインで共有したい」という欲求について共感してもらうことはおろか、「写真や動画をオンラインで共有したい」という欲求すら“上”の人たちに理解してもらうことができないので、言うだけ無駄、ということでした。

残念ながら似たような状況は多くの職場で起きているのではないでしょうか。

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