やった後悔とやらない後悔のどちらが尾を引くか もっと冒険しておくべきだったと嘆く人は多い

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勇気に関わる後悔は、このオハイオ州の男性のように、もっと探索の機会をもてばよかったと悔いるものである場合が多い。そのなかには、自分の内面を探索しなかったことへの後悔も含まれる。人が本当の自分であるためには、勇気が欠かせない。そして、本当の自分でいられなくなれば、その人の成長は止まる。

この点をくっきり浮き彫りにしているのが、世界中の何十人もの人たちが私の調査に対して用いた言葉だ。それは、「自分に誠実でなかった」という言葉である。

自分のアイデンティティを隠したという後悔

自分のアイデンティティを表明した人がそれを後悔することはほとんどない。これは、社会で主流の文化とぶつかるアイデンティティをもっている人たちにも言えることだ。それに対し、自分のアイデンティティを隠した人は、自分が人生を満喫する機会を否定してしまったと感じることが多い。

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たとえば、カリフォルニア州の53歳の人物はこう述べている。

同性愛者男性であるともっと早く公表しなかったことを後悔しています。それを公表しなかったことで、私の振る舞い方、仕事のパフォーマンス、同僚との絆の強さが影響を受けたことは間違いありません。

マサチューセッツ州の50歳の女性はこんな回答を寄せた。

私はマイノリティの女性です。アメリカへは移民としてやって来ました。ほかの人たちが私の英語の発音や肌の色、文化を笑いものにしたとき、堂々と抗議したり、相手の誤りを正したりしなかったことを後悔しています。

ニューヨーク市の36歳の人物はこう打ち明けた。

若いとき、自分がレズビアンであることを両親に打ち明けなかったことを後悔しています。長い間、異性愛者のふりをしていました。女性が好きなのだと、世界に向けて言うことができなかったのです。

ときに、最も勇気ある行動は、たとえほかの人たちの間で波紋を呼ぶことになっても、自分にとって新しい道を切り開くために声を上げることなのかもしれない。

ダニエル・ピンク 経営思想家

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Daniel H. Pink

1964年生まれ。ノースウェスタン大学卒業、イェール大学ロースクール修了。米上院議員の補佐官、ロバート・ライシュ労働長官の補佐官兼スピーチライターを経て、1995〜97年はアル・ゴア副大統領の首席スピーチライターを務めた。フリーエージェント宣言後は、ビジネス・経済・社会・テクノロジーをテーマに、記事や論文の執筆、講演などに従事。行動科学をテーマにしたテレビ番組の共同プロデューサーを務めたこともある。世界のトップ経営思想家を選ぶ「Thinkers50」の常連で、2021年のランキングでは9位に選出。

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