やった後悔とやらない後悔のどちらが尾を引くか もっと冒険しておくべきだったと嘆く人は多い

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挫折を経験した人のなかには、もう一度挑戦したいと言う人も少なくない。たとえば、1997年、インターネットが普及しはじめたばかりの頃に、ダグ・ランダーズは、フロリダ州中部でウェブ・トレーニング会社を設立した。この新しい会社は「数年間生き延びたけれど、潰れてしまった」という。

そのとき私は、いわば馬から落ちて痛い思いをしたことで、自分は乗馬に向いていないと決めつけてしまいました。その後20年にわたり、ほかの人たちが馬で通ったあとを歩いていた。いまは、再び馬に乗ろうとしなかったことを悔いています。57歳になったいまも、どうすればそれができるのかと考えています。

成長の機会をつかまなかったことへの後悔

私の調査への回答を見ると、私生活の領域でも、リスクを伴う行動を取らなかったために成長を遂げられなかったことを後悔している人が大勢いた。そうした人たちは、ほかの目的を達成する手段として成長したいというだけでなく、成長すること自体に価値を見いだしている場合も多い。

たとえば、せっかくの機会に旅行しなかったことを最大の後悔として挙げている人が何百人もいた。同じことを後悔している人同士の恋人マッチングアプリのほかに、旅行しなかったことを後悔している人向けの旅行サイトも立ち上げられそうだ(その場合は、海外留学しなかったことを後悔している人たちのためのサービスも忘れるわけにいかない)。

「私が最も後悔を感じてきたのは、まずい行動や愚かな行動を取ったことではなく、行動しなかったことです」と、オーストラリアのアデレードで暮らすジェマ・ウェストは述べている。

最大の後悔は、18歳のときにヨーロッパでバックパッカーの旅をしなかったことです。怖くて二の足を踏んだのです。でも、そうした旅を経験することは、オーストラリアの若者にとっては人生の重要な通過儀礼。私のいちばんの親友は、ほかの人とその旅に行きました。

ユタ州の47歳の男性はこう述べている。

若い頃にもっと旅をしなかったことを後悔しています。住宅ローンを抱え、子どもができ、「本物の仕事」に就くなど、大人としての責任の数々を背負うようになる前に、旅に出ればよかった。いまは、そんな自由はもうありません。

オハイオ州の48歳の男性はこう打ち明けた。

もっと冒険しなかったことを後悔しています……旅をしたり、探索したり、世界をもっと経験したりすることに時間を割かなかったのです。落胆したくないという思いに支配されていたことに加えて、周囲の期待を自分の希望よりも優先させた結果でした。私はいつも言ってみれば「よき兵隊」としての役割を果たし、まわりの人たちを満足させるよう努めてきました。これまでの人生には満足しています。でも、ほかの人たちに話せるような経験をもう少ししたかった。いつの日かきっと……。

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