やった後悔とやらない後悔のどちらが尾を引くか もっと冒険しておくべきだったと嘆く人は多い

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アメリカの詩人オグデン・ナッシュは、行動したことへの後悔と行動しなかったことへの後悔の違いについて、長い詩を書いている。

あなたの皮膚の内側に後悔の種子を埋め込むもの
それは二つ目の種類の罪、すなわち行動しないことの罪である

行動したことの結果は、具体的で限定的だ。それに対し、行動しなかったことの結果は、漠然としていて非限定的なものにならざるをえない。行動しなかったという経験は、私たちの皮膚の内側に後悔の種子を埋め込むことにより、終わりのない推測を生むのだ。

行動したかしなかったかという「勇気に関わる後悔」が恋愛の領域でしばしば見られる理由も、これで説明がつく。私の調査に対しても、そのような後悔が非常に多く寄せられた。それこそ、回答者の中で恋愛に関して類似の後悔をもっている人同士を引き合わせる「後悔版マッチングアプリ」をつくれそうなくらいだ。

アイルランドの37歳の男性はこう述べている。「大学時代に、人生でいちばん魅力的な女性と巡り合いました。でも、勇気がなくてデートに誘えずじまいでした」。

オクラホマ州の61歳の女性はこう打ち明けている。「45年間ずっと好きだった人に電話できませんでした」。

カリフォルニア州の65歳の男性が寄せた後悔は、このようなものだった。「デートに誘えませんでした。もし誘っていたら、人生が変わっていたでしょう」。

勇気に関わる後悔が長引くのは、反実仮想で思い描ける可能性の幅がきわめて広いからだ。

思い切って挑戦しなかったことを悔やむ人は多い

勇気に関わる後悔すべての核を成すのは、成長の機会がそこなわれた経験だ。「なれたかもしれない自分」─もっと幸せで、もっと勇気があり、もっと進化した自分─ になれずじまいだったこと。限りある人生の中でいくつかの重要な目標を達成できなかったこと。そうしたことに後悔を感じるのだ。

この種の後悔が生まれやすい領域としては、仕事の分野も挙げることができる。大半の人は、眠っていない時間の半分以上を仕事に費やしているからだ。南アフリカの33歳の女性が記した内容は、ほかの多くの人たちの声を代弁するものと言えるだろう。

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