「オヤジさんが市内の散田町の少年野球チーム・散田ファイターズの監督で、私が隣町のチームにいたこともあり、よく話しかけてくれました。
小学校3年生ぐらいの頃から行き始め、野球の練習の後にみんなで100円を握りしめて食べに行ったのを覚えています。週に一度の楽しみでしたね」(「めだかやドットコム」青木崇浩社長)
子供でも食べられる「100円」という価格もあり、地域の小学生がたくさん集まる場所でもあった。
ここで友達ができ、時には周りのお客さんにごちそうしてもらえることもあった。ラーメンとタンメンが100円と、1970年代としても考えられない値段である。
店主が監督を務めていた散田ファイターズには滝沢秀明さんも当時在籍していて、タッキーのソウルフードとしても知られる。
閉店と、そこから復活させるまで
中学時代も近くの中学に通っていたので、青木さんとしては「100円ラーメン」は常に近くにあった存在。閉店を聞いたときは本当に寂しかったという。
「『美味しかったよね』というよりも『あの時代は良かったよね』『面白かったよね』という空気感で当時の八王子市民は『100円ラーメン』を記憶しています」(青木さん)
八王子への愛をそう語る青木さんだが、彼自身は大学卒業後も地元に残り、事業家になる道を選んだ。1998年春に黒めだか(野生)を購入、飼育した際にめだかが繁殖したことがきっかけで興味を持ち、独自に飼育方法を確立。2004年にWEBサイト「めだかやドットコム」を発表すると、後に法人化。めだか専門家として専門書も複数冊執筆した。その後は、2016年に株式会社あやめ会を設立し、「めだか×福祉」で事業展開を開始。「地元に貢献したい」という思いだった。
だからこそ、青木さんが「100円ラーメン」を復活させたいと願ったのは、ある意味、自然なことであった。
「現代の美味しいラーメンを一から作り上げるというよりも、35年前の『100円ラーメン』の雰囲気を取り戻したいと思い、復活に向けて動き始めました」(青木さん)
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