「1ドル142円に急騰」誰も語らないシンプルな本質 「買う理由」「売る理由」から社会の動きがわかる

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円高を報じる新聞
誰が何のために買っていて、誰が何のために売っているのか。視点を変えて考えると、世の中の動きが見えてくるという(写真:Tsubaki/PIXTA)
「お金の本質を突く本で、これほど読みやすい本はない」
「勉強しようと思った本で、最後泣いちゃうなんて思ってなかった」
経済の教養が学べる小説きみのお金は誰のため──ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」には、発売直後から多くの感想の声が寄せられている。本書は発売1カ月半で10万部を突破したベストセラーだ。
著者の田内学氏は元ゴールドマン・サックスのトレーダー。資本主義の最前線で16年間戦ってきた田内氏はこう語る。
「みんながどんなにがんばっても、全員がお金持ちになることはできません。でも、みんなでがんばれば、全員が幸せになれる社会をつくることはできる。大切なのは、お金を増やすことではなく、そのお金をどこに流してどんな社会を作るかなんです」
今回は、先週の「急激な円高」はなぜ起きたのか、その根本的な理由を解説してもらう。

急激な円高への「2つの説明」

先週、外国為替市場が突如動いた。1日でドル円レートは147円台から142円台に一気に突入。「いったい何が起きているんですか?」と周りの人たちからも聞かれた。

『きみのお金は誰のため──ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』は、発売1カ月半で10万部のベストセラーになっている。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

あの2人ならどう答えるだろうかと僕は想像してみる。20年前、ゴールドマン・サックス証券で働きはじめたとき、金融市場や世界経済について教えてくれた2人の先輩のことだ。陽気なロン毛の先輩と物静かなのっぽの先輩。マーケットで大きな動きがあったときは、いつも彼らにその理由をたずねていたのだった。

ロン毛の先輩はきっと自信たっぷりに教えてくれただろう。

「今回の為替の動きの原因は、日銀総裁のコメントだよ。マイナス金利の解除を示唆していると市場は捉えたんだ」

12月7日に、日銀の植田総裁は、国会答弁で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言。これによって日銀が早期に金融政策を転換するとの見方が市場全体に広がったそうだ。

一方の、のっぽの先輩は、少し面倒くさそうな顔でこう答えただろう。

「ドルを売りたい人が多かったんだろ」

一般的には、ロン毛の先輩の話をありがたがって聞く人が多い。なるほど、そういうことが起きていたのかと納得する。僕もその1人だった。しかし、金融の世界でお金について学ぶにつれて、のっぽの先輩の言葉のほうが重要だと気づいたのだ。

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