「1ドル142円に急騰」誰も語らないシンプルな本質 「買う理由」「売る理由」から社会の動きがわかる
急激な円高への「2つの説明」
先週、外国為替市場が突如動いた。1日でドル円レートは147円台から142円台に一気に突入。「いったい何が起きているんですか?」と周りの人たちからも聞かれた。
あの2人ならどう答えるだろうかと僕は想像してみる。20年前、ゴールドマン・サックス証券で働きはじめたとき、金融市場や世界経済について教えてくれた2人の先輩のことだ。陽気なロン毛の先輩と物静かなのっぽの先輩。マーケットで大きな動きがあったときは、いつも彼らにその理由をたずねていたのだった。
ロン毛の先輩はきっと自信たっぷりに教えてくれただろう。
「今回の為替の動きの原因は、日銀総裁のコメントだよ。マイナス金利の解除を示唆していると市場は捉えたんだ」
12月7日に、日銀の植田総裁は、国会答弁で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言。これによって日銀が早期に金融政策を転換するとの見方が市場全体に広がったそうだ。
一方の、のっぽの先輩は、少し面倒くさそうな顔でこう答えただろう。
「ドルを売りたい人が多かったんだろ」
一般的には、ロン毛の先輩の話をありがたがって聞く人が多い。なるほど、そういうことが起きていたのかと納得する。僕もその1人だった。しかし、金融の世界でお金について学ぶにつれて、のっぽの先輩の言葉のほうが重要だと気づいたのだ。
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