医師会VS財務省「診療所の良好な経営」巡る対立 私たちの日々の暮らしにどう影響を及ぼすか

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実は、ほとんど賃上げが行われていなかった時期も、診療報酬改定はプラス改定となっている。建議には、「過去20年間、医科診療所(入院外)(以下単に「診療所」という。)における1受診当たり医療費(報酬単価)は、物価上昇率が低迷する中にあっても、ほぼ一貫して増加してきた」と記されている。

具体例として、2000年度から2019年度にかけて「消費者物価指数は3%の上昇にとどまるのに対し、診療所の報酬単価は26.5%増加してきた」、2019年度から2022年度にかけては両者の乖離が顕著に拡大。「診療所の報酬単価は+14%と、この間の物価上昇率+3%を大幅に超えた水準で急増している」などとしている。

「国民は、社会保険料にあまりにも関心がなさすぎた。賃金から引かれているもので最も大きいのが社会保険料、所得税や住民税などとは比べものになりません」(土居教授)

12月中旬に診療報酬改定の結果が出る

医療は私たちの健康や命を守るために欠かせないものだ。だが、それによって日々の生活が圧迫されるのでは本末転倒だ。税と同じように、保険料についても我々はもっとじぶんごととして考えていかなければならないのではないだろうか。

まずは12月中旬に厚労省が公表する診療報酬改定の結果を注視したい。

鈴木 理香子 フリーライター

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すずき りかこ / Rikako Suzuki

TVの番組制作会社勤務などを経て、フリーに。現在は、看護師向けの専門雑誌や企業の健康・医療情報サイトなどを中心に、健康・医療・福祉にかかわる記事を執筆。今はホットヨガにはまり中。汗をかいて代謝がよくなったせいか、長年苦しんでいた花粉症が改善した(個人の見解です)。

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