築180年、英で現役「川底の鉄道トンネル」の秘密 列車運休し徒歩見学会、SL時代の面影も残る

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テムズトンネルは1825年、川の南岸にある現在のロザーハイズ(Rotherhithe)駅近くに立坑の建設を開始。翌1826年には息子のイザムバード・キングダム・ブルネルと共に、対岸(北側)にある現在のワッピング(Wapping)駅に向け、本格的にシールド工法を使っての掘削に着手した。ただ、途中で大浸水が発生し、イザムバードも九死に一生を得るほどの大事故となる。財務問題も足を引っ張り、浸水からおよそ7年にわたってトンネル工事は放置される事態となった。

1834年の暮れ、イギリス政府から資金の借り入れに成功するや、翌年から工事を再開。その後も浸水や有害気体の発生などに悩まされたものの、工事再開から5年半後の1841年11月にトンネルはなんとか貫通した。その後、内装や照明などの工事を経て、明治維新より25年も早い1843年に歩行者用トンネルとして利用が開始されている。

歩行者用から鉄道トンネルへ変貌

トンネルは内部に馬車を通すという構想があったことから2本造られ、その断面は人の身長よりもはるかに大きい(幅7m×高さ11m)。しばらくは有料の歩行者専用トンネルとして使われてきたが、どちらかといえば見世物小屋的で物見遊山の人々があふれ、中には暗いトンネル内で犯罪に遭うこともあったという。馬車が走ることは歴史上一度もなかったとされている。

テムズトンネル 開業当時
当初は歩行者用トンネルとして開通したテムズトンネル(画像:歴史資料より=public domain)

トンネルの使用開始から20年あまりを経た頃、当時ロンドンに乗り入れていた6つの鉄道会社がそれぞれの列車を相互乗り入れさせることを目的に「イーストロンドン鉄道会社(East London Railway Company)」を設立。テムズ川の南北を走る列車を直通させるため、テムズトンネルに線路を通すプランが浮上した。1865年には同社がトンネルを買収し、それから約4年をかけて線路を敷き、列車が走れるよう改装した。ただ、当時は電車や電気機関車がまだ実用化されておらず、初期のロンドン地下鉄と同様、蒸気機関車(SL)が煙を吐きながらトンネルを行き来していた。

テムズトンネル 鉄道トンネル化
列車が走るようになったテムズトンネルの北端にあるワッピング駅(画像:Illustrated London News掲載とされる歴史資料=Public domain)
テムズトンネル19世紀の歴史
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