築180年、英で現役「川底の鉄道トンネル」の秘密 列車運休し徒歩見学会、SL時代の面影も残る

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当時、SLがここを走っていたことを実感できる場所がトンネルや駅などに残っている。トンネル南岸側のロザーハイズ駅に行くと、壁はあちこちが真っ黒なままで、地上にある同駅の駅舎に隣接するブルネル博物館にある立坑跡の壁も煙で黒ずんでいる。

ロザーハイズ駅
かつて蒸気機関車が走っていたロザーハイズ駅の壁はあちこちが真っ黒なままだ(筆者撮影)

ちなみに、現在トンネル内を走っている車両(第三軌条から集電する電車、5両編成)は、地上を走る一般的な電車と同じサイズだ。俗に「チューブ」と呼ばれるロンドン地下鉄の小さなトンネル断面に合わせた車両よりはるかに大きい。

ロンドンオーバーグラウンド ロザーハイズ駅
現在トンネル内を走っているロンドン・オーバーグラウンドの電車=ロザーハイズ駅にて(筆者撮影)
テムズトンネル 20世紀年表

列車を運休して「トンネルツアー」

今も毎日列車が走っているこのトンネル内を歩いて見学できるツアーが開かれることは非常に稀だ。今回はロンドン交通博物館の催しの1つとして、チャリティーツアーの形で11月4週目の週末2日間に限って行われた。

一時期使われていなかったトンネルは、2010年にロンドン・オーバーグラウンド線の一部として運行を再開したが、その後内部を開放したのは2014年5月の3日間のみ。トンネルを歩くとなると、南北につながる線区を全面運休にし、第三軌条への通電も止めなくてはならない。一般の人々が歩けるように線路に降りるための特別の”ステージ”を設けたり、地面に取り付けられた機器類に特別なカバーをかけたりと大掛かりな準備が必要となる。

テムズトンネルツアー ホーム
ロザーハイズ駅の線路上に作られたツアー用の”ステージ”(筆者撮影)

参加者が負担する費用は75ポンド(約1万5000円)と同博物館が主催するツアーとしてはかなりの高額だった。2日間のツアー本数やツアー1本ごとの構成人数を総計すると参加者総数は延べ1000人に達し、総収入は7万5000ポンド(約1500万円)となる。とはいえ、一般に開放される可能性が極めて低いところの公開とあって、発表と同時にほぼ売り切れ。数十人分の枠を慌てて追加したが、それもすぐに売れてしまったという。

ロザーハイズ駅の煉瓦の壁からは常に水が出ているのを日頃、筆者は目にしている。19世紀に鉄道構造物として造られた部分がそのまま露出しているのだから無理もない、トンネル内もきっとあちこち水浸しだろう、とトンネル内に入るにあたり、筆者はそう予想していた。

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