イスラエルを止められない国々が持ち出す夢物語 30年前に合意した「二国家解決案」は理想に変質

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当時、イスラエルがPLOをテロ組織と非難する一方で、PLOはイスラエルを国家と認めず激しく対立していた。にもかかわらず両者はノルウェーの首都、オスロを舞台に水面下で極秘の接触、交渉をしていたのだ。

残念ながらオスロ合意の描いた平和への道筋はわずか2年後、和平推進の中心人物だったイスラエルのラビン首相が暗殺されたためにあっけなく頓挫してしまった。

以後、イスラエルは和平に積極的だった労働党が国民の支持を失い、代わりにパレスチナに対する強硬論を掲げる右派が台頭してきた。現在のネタニヤフ首相もその勢力の一人で、極右政党や宗教政党と組んだ連立政権はイスラエル史上最も右派の政権と言われている。

ガザの非人道的状況を国際社会は放置できない

一方のパレスチナ側はヨルダン川西岸とガザ地区が分裂し、ガザはイスラエルの存在を否定するハマスが支配し、イスラエルに対する攻撃やテロを続けている。オスロ合意にかかわったPLOのアラファト議長も死去し彼を引き継ぐ有力な指導者は登場していない。

イスラエルとパレスチナの間で和平の動きは完全に消えてしまい、国際社会も次第にパレスチナ問題に対する関心を失っていった。そればかりか同じ民族でパレスチナを支持していたアラブ諸国からは、イスラエルとの国交を樹立する国も相次ぎ、パレスチナ側は孤立感を深めていた。

そうした空気が今回のハマスのイスラエル攻撃で一変した。イスラエル軍による攻撃によって生まれたガザの非人道的状況を国際社会は放置できなくなった。かといってイスラエルやハマスの攻撃を止める手立てもない。

そこで浮上してきたのが「二国家解決案」である。

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