「3週間の休暇」で競争力首位のデンマークの秘密 脳を休めることで得られる「意外なメリット」
自分も長い夏休みを取る権利を持っているし、当然、他の人も長い夏休みを取る権利を持っている。そういう認識があるから、休みやすい。長い夏休みを取得することに、罪悪感を抱くこともない。
では、デンマーク人は夏休みに何をするのだろう。夏休みの間は仕事を忘れられるのだろうか。
インタビューで尋ねてみたところ、海外旅行に行く人が多かった。また、国内でサマーハウスに滞在したり、キャンプをする人も多い。あるいは、そのコンビネーションだ。休暇が3週間もあれば、色んなことができる。
3週間という長さについては、ちょうど良いと回答する人が大半だった。最初の数日はまだ頭の片隅で仕事のことを考えているが、バケーションに向かう飛行機や車に乗った瞬間に、一気に休暇モードに入る。そこからは仕事のことは一切忘れてバケーションを満喫し、仕事を再開する数日前頃から再び仕事のことを考え始める。
夏休み中はメールを「自動応答」に設定
7月にデンマーク人にメールをすると「ただいま休暇中です。○月○日に戻ります。緊急の場合は○○にご連絡ください」と、代行者の連絡先または自分の電話番号が書かれた自動応答メールが返ってくる。複数人にccをしてメールを送ると、みんなから自動応答メールがざざっと返ってくる。
デンマークでは、7月に仕事をしてはいけない。誰からも応答がなく、むなしくなるだけである。それならば、自分も休みを取ったほうがいい。
近年、私自身もそのことをよく学んで、7月は仕事をしないことにした。夏休み中に仕事の連絡をされることは、デンマーク人にとっては迷惑でしかない。
夏休みにたっぷり休暇を取ることで、エネルギーが充電されて、リフレッシュして仕事に復帰できる。仕事の生産性を上げるために日々の生活のなかで休息が必要なデンマーク人には、夏の長いバカンスが必要なのだ。
ちなみに、デンマーク人は職種にもよるが、年間合計で5〜6週間の有給休暇を取得できるのが一般的だ。夏休み以外にも、秋休み(10月)・クリスマス休暇(年末年始)・冬休み(2月)・イースター休暇(3〜4月)などがあり、そこにプラスして国民の祝日がちょこちょこある。
しかも、平日は午後4時に帰宅だ。
よくこんなに休んで仕事ができるなぁ、というのが私の正直な感想だ。だが、罪悪感を抱かず思いっきり休んでリフレッシュできるカルチャーは、とてもいいなと素直に思う。その分、仕事の時間は思いきり集中する。このメリハリが、デンマークを国際競争力1位に押し上げた要因の一つなのかもしれない。
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