まずは、設立の経緯から振り返ってもらった。
同社のホームページには、「私たちは30年以上にわたり、リチウムイオン電池の充放電応用システム開発のトップランナーとして、世界のリチウムイオン電池の安全を日本の技術で支えてきた」とある。この「30年以上の経験」とは具体的にどういうことなのか。
佐藤氏は、総合エンジニアリング企業勤務時代の1987年から、リチウムイオン電池に「化学屋ではなく電気(制御)屋として関わってきた」という。
国内大手電機メーカー向けなど、さまざまな案件に携わってきたとのことだ。具体的には、「活性化工程」における「充放電効果」に関する研究開発で、「充電・放電の双方向に対応するインバータや、それに伴うモーター制御などを専門としてきた」と話す。
2009年には、自ら充放電装置のメーカーを設立し、中国市場においても、中国の主要EVバスメーカーなど、中国の自動車産業やEV産業の創世記から深く係わってきたという。
なぜ、中国企業と連携してEVバスを?
では、EVモーターズ・ジャパンが、バスなど商用EVに特化するビジネスモデルとなったのはなぜだろうか。
背景には、日本と中国、それぞれでの佐藤氏の実体験にある。
日本での転機は、2011年3月の東日本大震災。福島にあった自社のインバータ製造工場が、被災したという。
その後、当時の福島県知事や地元出身の政治家などが、「福島で電池産業の育成を目指す」という考えを示すと、佐藤氏は「新しい防災システム」という観点で、「非常時に移動電源車となるEVバスが、有力な産業に成長するのではないか」と考えた。
また、被災した鉄道路線の復旧見込みが立たない中で、BRT(バス高速輸送システム)をはじめとした都市交通システムの導入に注目が集まり、「ランニングコストを考慮すればEV化の可能性もある」と考えた。
一方、中国では東日本大震災が発生する前の2000年代後半から、EVバスの普及が進み始めていた。
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