富士通とパナの合弁、「半導体再浮上」に挑む 京セラから転じた西口CEOが再建策を語る

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また「ハイパフォーマンスSoC事業部」は、海外のサーバールーターの顧客にアプローチしている。ここはこれまでほとんど経験がなく、新しい挑戦となる。

日本の半導体を立て直せるか。ゆくゆくはIPOも目指す

「グラフィックソリューション事業部」で狙うのは、主にクルマのフロント部分だ。すでに富士通中心に手掛けていたが、顧客とのネットワークを深め、広げていく。自動運転や快適走行に向けて、ニーズを掘り起こしていく。

「コネクテッドイメージング事業部」でも、映像を圧縮する技術の蓄積をベースに、放送局向けなどに製品を普及させていきたい。

――あらためてソシオネクストの強みはどこにあるのか。

正直言って、強みというのをまだ話せる段階ではない。私は京セラ在籍時、携帯電話事業を手掛けており、米クアルコムがこれから伸びるという時代から知っている。彼らの設計・開発の強みは、とことん市場に出して磨いていったものだ。何が本当の強みにできるか、というのは、とことんマーケティングしてみないとわからない。

まずは1年間、(顧客視点にたった)マーケットインの仕事のやり方で徹底的にやる。それで本当に我々にとって何が強みなのか、をつかんでいきたい。

どう売るか、が大事

――2015年度売上高1500億(2014年度実績約1300億円)、5年以内に売上高2000億円、営業利益率10~15%の目標を掲げ、IPO(株式新規公開)も目指すと公言している。

私が去ってからも、持続成長するには、それくらいの収益基盤が必要だ。IPOする理由も、そのくらいのパフォーマンスを目指すというのが、理由の一つ。もう一つの理由は、出資している政投銀がイグジット(株式売却)を求めるので、そのため株式を市場で売却するということだ。

――自身の研究テーマである「技術経営」を、どう新会社で実践するのか。

実践していることはあるが、まだお話はできない。ただ一般的な技術経営(MOT=Management Of Technology)の研究は、技術力をどう効率的に上げるか、にとどまっている。私が見据えるのは、同じ技術経営でもMBT(Management Based on Technology)。技術力を高めたうえで、出来上がった技術をどう売るのか、経営にまでトータルで研究し、議論してきた。その考えを、わが社でも実践していきたいと考えている。

(撮影:ヒダキトモコ)

許斐 健太 『会社四季報 業界地図』 編集長

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このみ けんた / Kenta Konomi

慶応義塾大学卒業後、PHP研究所を経て東洋経済新報社に入社。電機業界担当記者や『業界地図』編集長を経て、『週刊東洋経済』副編集長として『「食える子」を育てる』『ライフ・シフト実践編』などを担当。2021年秋リリースの「業界地図デジタル」プロジェクトマネジャー、2022年秋より「業界地図」編集長を兼務。

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