DRAM価格、高値安定から下落が始まった理由 パソコン、スマホ向け半導体メモリに異変
記憶素子として、パソコン(PC)やスマートフォン(スマホ)などで使われる半導体メモリのDRAM。指標となるDDR3型・2ギガビットのコントラクト価格(企業間の大口取引価格)は、2012年11月に1ドルの底値をつけた後に反転上昇。2013年12月に2.25ドルまで達した後も高値で安定的に推移してきた。
価格上昇を牽引したのは、スマホ向け需要の拡大だ。2011年時点ではまだDRAMの用途はスマホよりもPC向けが上回っていた。しかし、2012年には市場規模でスマホが逆転した。
PC向けの市場は横ばいが続き、競争も激化。同製品を主力としていたエルピーダメモリは2012年2月に会社更生法の適用申請に追い込まれた。2014年4月のウィンドウズXPからの切り替え前には特需があったものの、市場の伸び幅は限定的だった。
3社でシェア9割を寡占
一方、スマホ向け市場は拡大が続き、2011年1~3月の19億ドルから、2014年9~12月には101億ドルまで5.3倍に膨らんだ。
スマホはアップルのiPhoneのほか、シャオミなど中国メーカー勢が著しく台頭。DRAMの需要が拡大した一方で、生産が抑制傾向にあったことも価格押し上げの要因となった。
DRAMは韓国のサムスン電子とSKハイニックス、エルピーダメモリを傘下に収めた米マイクロン・テクノロジーの上位3社が、世界シェアの9割以上を寡占。そのため、価格競争に陥りにくく、過度の供給過剰も起きにくい。PC向けは汎用品が多いが、スマホ向けはカスタム品が中心のため価格が安定しやすいという側面もある。
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