サムスン、「苦戦のスマホ」は挽回できるのか 日本のモバイル事業トップに聞く

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堤浩幸COO。NECに19年間在籍したのち、2004年にシスコシステムズへ移籍し、アジア太平洋、日本、中華圏の戦略を統括するバイスプレジデントを務めた。2015年4月からサムスン電子ジャパンの代表取締役COOに就任(撮影:風間仁一郎) 
旗艦スマートフォン「ギャラクシー」シリーズの日本市場シェアが、かつての10%超から2014年に5%未満にまで低迷した韓国サムスン電子。ソフトバンクでしか買えなかった強力なライバルiPhoneを、KDDIやNTTドコモも取り扱い始めたことで、苦戦に追い込まれた。
4月に日本で発売した新タイプの「ギャラクシーS6」は、画面が携帯のへりに合わせてカーブする曲面ディスプレイを採用するなど、デザインを一新。携帯販売店に派遣する販売員も、従来比で4倍に増やす力の入れようだ。2年前にNTTドコモが行った、ギャラクシーの販売強化キャンペーンで購入をした顧客には、機種変更の価格を実質1万円引き下げるなど、異例の値下げ戦略も打ち出している。
そして4月にサムスン電子ジャパンの代表取締役COO(最高執行責任者)に就いた堤浩幸氏が掲げるのが、日本市場でのBtoB(法人向け)需要の本格開拓だ。堤氏は、NECやシスコシステムズで法人向け業務を牽引してきた“BtoBのプロ”。法人向けギャラクシーの勝算はどこにあるのか、尋ねた。

――BtoBを開始する理由は?

ギャラクシーの強みが生きる分野だからだ。ギャラクシーには独自の決済サービス「サムスンペイ」やセキュリティシステムの「ノックス」などがある。今後カード会社と連携すれば、クレジットカードや銀行のATMカード、ポイントカードなどの機能を携帯で使えるようになる。

そうなれば、財布からプラスチックカードをなくすことができる。これは日本のキャッシュ重視の文化を変えるトリガー(引き金)になりうる。

こうした機能を持つ端末は、もはや従来のスマートフォンと同様ではない。名称はまだないが、いわば“ネクストジェネレーションのスマホ”といえよう。これら新しいサービスの開拓によって、BtoBの分野でもできることが増えていく。

BtoBは日本が先行するサービス

たとえば宅配業者向け。彼らが使っている専用端末も、スマホに切り替えられる可能性がある。また流通分野でも、POS端末の替わりになりうるだろう。介護や教育分野でも、スマホを利用すれば、多様なBtoBの展開が可能になる。

こうしたサービスは日本市場がいちばん先行している。スマホにかぎらず、タブレット、ノート系でもニーズが強い。これらの端末を使ったBtoBのサービスは、韓国でもまだこれからの分野。日本発のBtoBのサービスを、将来的にはグローバルに展開していきたい。

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