シュンペーターは一体何を間違えてしまったのか 新しい「経済社会の"変遷"理論」を提示する

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だが実際には、20世紀後半には新しい企業群が生まれ、重厚長大産業を支配する超巨大独占企業に取って代わり、経済を支配するようになった。軽薄短小な製品を次々生み出し、20世紀末にはコンピューター化、サービス産業化が進展し、21世紀はさらに新しい独占企業群が生まれた。経済はバブル化し、華やかさはさらにあふれんばかりとなり、一見活力にあふれる経済が加速したからである。

シュンペーターの理論に「半分」欠けていた消費者

では、シュンペーターの理論に何が欠けていたから、20世紀前半に生きた彼は21世紀の変化を見抜けなかったのだろうか。それは、大衆消費社会の経済への構造的な影響であり、消費者軽視であり、消費者と生産者のダイナミズムによる経済社会の変遷である。これがシュンペーター体系の不十分な点であり、3つのうちの2つ目の論点である。

シュンペーターの言う経済発展は、企業家が新結合による革新を企図し、それを銀行家が資本の提供で実現させることによる、生産独占者の覇権の交代の実現により進む。そして、これらはすべて生産者側の世界で完結する。そこには消費者は出てこない。

彼は、革新は消費者側から起こるのではなく、ほとんどすべての場合、生産者側から起こると主張する。消費者の嗜好の変化が経済を変化させることもあるが、あくまで例外的であり、無視できるほど影響は小さいと議論する。

つまり、生産者側だけが議論され、消費者側を(意図的に)無視しているのであり、これが冒頭に言った「半分欠けていること」なのである。

この欠落は21世紀の経済の変動を議論するうえでは致命的になった。スペインの哲学者であるホセ・オルデガ・イ・ガセットが「大衆の反逆」で20世紀初頭に指摘したように、大衆が社会のすべての領域にあふれ出てきて、これまでの秩序を押し流していったのである。

そして、大衆は20世紀後半には社会の中心に進出し、21世紀には居座り、社会を支配するようになってきたのである。17~18世紀の市民革命よりも本質的に社会を破壊する、イデオロギーなき、しかし実質的な影響のより大きい革命が起きたのである。

政治的リーダーシップはポピュリズムに乗っ取られ、正しい理論はわかりやすい議論に書き換えられ、エリート、専門家の議論はSNSによる陰謀論にかき消され、論壇は左右両極に分裂し、まっとうな議論は退屈だと葬り去られた。

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