ゼンショー「9年ぶり増資」で攻勢も、直面する不安 「外食業世界一」を目指し、M&Aを加速

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ゼンショーはここまで、M&Aを駆使して業容を拡大してきた。1982年の創業当初は弁当屋だったが、同年から牛丼チェーンすき家を展開。

その後、2000年にファミリーレストランの「ココスジャパン」、2002年にハンバーグレストランなどの「ビッグボーイジャパン」、2005年に牛丼チェーンの「なか卯」を次々と買収した。

2018年には、アメリカを中心に持ち帰りずしチェーンを展開する「Advanced Fresh Concepts Corp.」(AFC)を傘下に収めた。

コロナの影響が落ち着いた2023年4月には、ハンバーガーチェーン「ロッテリア」の株式を取得。さらに9月には、ヨーロッパやアメリカで持ち帰りずし店を展開する「SnowFox Topco Limited」(スノーフォックス)を約870億円で買収した。

M&Aをテコに規模を拡大し、2023年3月期の売上高は7799億円と、20年間でおよそ10倍の成長を遂げた。

M&A先として照準を定める企業は?

「フード業世界一」。ゼンショーは経営目標として掲げるこの野望を実現すべく、今後は海外企業のM&Aを積極化する構えだ。日本は人口減少により、市場規模が小さくなることが懸念される。海外での展開強化は、一段の成長を遂げるためには必須だ。

しかし、海外のトップ企業に並ぶには、まだまだ遠いのが実状だ。例えば、アメリカで上場する外食企業で最も売上高の大きいスターバックスは、2023年9月期売上高が359億ドル(約5兆2000億円)と、ゼンショーをはるかに上回る。

この先、ゼンショーはM&A先としてどのような企業に照準を定めるのか。世界トップ企業との売上高の差を考慮すると、まずは「ファストフード」業態が浮かび上がる。世界で多くの店舗を出店しているブランドが多く、買収すれば事業拡大に寄与する。

実際に、今年4月にロッテリアを買収した。ロッテリアは海外への進出を目論む。「ロッテリアは海外展開も強化していきたい」と、ゼンショーの丹羽清彦執行役員は意気込む。

フランチャイズ展開をする企業であることも、M&A先の候補として挙げられる。前出のAFCやスノーフォックスは、北米などで3000店舗以上を持ち、ほとんどの店舗をFCで展開している。

FC展開をすることで、出店時のリスクを低減することが可能だ。店舗などの固定資産を持つ必要がなく、速やかに出退店を行える。

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