それを象徴するかのように、「秘密のケンミンSHOW」で特定の都道府県が特集されると、そのエリアの視聴率が局地的にハネ上がるのだそうです。
たとえば、今年1月22日には、関西地区で番組最高となる24.4%の視聴率(ビデオリサーチ調べ、関西地区)を獲得。このときの特集はもちろん大阪。テーマは「ボケとツッコミだけやないんやで!大阪府民のホンマの姿見せたるわSP」。企画趣旨としては、ホンマの姿を全国の人に見せたるわ!なのでしょうが、結果的に、最も熱心に視聴したのは関西の人ということになります。おそるべき地元愛です。
パリでも栃木でも、異文化体験
自分の出身地のディープなネタを見てしまう理由は、もうひとつあります。それは「自分の常識は他人にとっては非常識」というのを実感できるから。自分の出身県では当たり前の料理も、他県では当たり前ではない。たとえば、山形県の村山地方で有名な「鳥中華」(そばのスープに中華麺を入れる料理)も地元の人にとっては常識でも、その他の地域の人にとっては、「えーー!」となるわけです。
それでは、自分の出身地ではない都道府県が特集されても、見てしまうのはなぜでしょうか。それは、広くあまねく、異文化体験ができるからだと思います。
一地域ではなく、47都道府県のさまざまな文化が紹介されるところがポイント。東京で生まれ育った人にとっては、パリもニューヨークも、栃木も北海道も、同じ「異文化」なのです。国内のディープな異文化を数多く紹介してくれるところにお得感があります。
日本では、多くの人が同じ都道府県内(地域内)で生まれ育つのが一般的でしょう。生まれてから現在までに住んだことのある都道府県数を数えてみても、多い人で3〜4県ぐらいではないでしょうか。誰でも国内で行ったことのない県は山ほどあるし、食べたことのない料理も山ほどある。それでも番組を見れば、行ったような気になるから不思議です。
それにあまり知らない県同士であっても、地元愛満載で「対決」している様子をはたから見るのは楽しいもの。「この県の人たちは、こんなしょうもないことにこだわるのか」「これってどんぐりの背比べでは」と感じる視聴者の方もいるでしょうが、きっと自分が街頭でインタビューされれば張り切って「対決」してしまうはずです。
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