「安すぎる日本アパレル」値上げできない深刻な訳 物価高なのに、値上げできない納得の理由は?

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【1】ファストファッションの浸透

第1に、ファストファッションの浸透やコストパフォーマンスに優れた低価格の衣料品が普及したことで、衣料品全体の平均価格を押し下げていることにあります。

とくに、ファストファッションをはじめとするグローバルSPAがシェアを伸ばした2015年頃までは、その影響が顕著です。

【2】「不要不急の衣料品」は価格転嫁がしにくかった

第2に、失われた30年と呼ばれる長引くデフレ経済下の中で、「不要不急の衣料品」は価格転嫁がしにくかったという背景があります。

電気は約45%、食料品は約23%値上がりしたが…

アメリカにおける過去10年間の主要消費財の値上げ状況。不要不急の消費財であるアパレルは、必需品と比べて相対的に値上げできていないことがわかる(出所: Bureau of Labor Statics in the U.S をもとにKearney分析)

アメリカにおける2013年から2022年にかけての業界別の値上げ比較をみると、過去10年で、電気は約45%、食料品は約23%値上がりした一方で、アパレルは約4%しか値上げできていません。

背景としては、「不要不急の商材」であるがゆえに、企業が消費者の買い控えを恐れ、値上げをしにくいことがあります。

デフレとは程遠く、経済好調なアメリカでさえ、この状況なのです。

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