大躍進「翔んで埼玉続編」が話題増産に成功した訳 SNS時代の新たな映画の楽しみ方とPR戦略
大宮の複合商業施設の「アルシェ」では、作品中に出てくる“浦和・大宮対決”シーンのユニフォームを限定販売している。埼玉県のスーパー「みどりスーパー」は、作品世界と連動して、滋賀県のご当地グルメやコラボ商品を販売。西武鉄道と近江鉄道とがコラボしてスタンプラリーを開催。その他、大手から地元企業まで、多数の企業とコラボレーションしている。
自治体では、埼玉県が観光プロモーション「おいで埼玉」を始めることを発表した。埼玉県行田市(映画にも出てくる地域)の「古代蓮の里」の田んぼアートも、公開に先立つ8月から「翔んで埼玉」仕様に変えられた。
映画の中で「共同戦線」を張っている、埼玉県と滋賀県のコラボレーションも複数見られた。例えば、滋賀と埼玉のアンテナショップがコラボし、商品の相互販売を行ったり、オリジナルグッズを販売したりしている。また、ボートレースびわことボートレース戸田がコラボイベントを共同開催したりもしている。
上記にとどまらず、「翔んで埼玉」多数の企業や自治体、団体とコラボレーションを行っている。また、埼玉県内で新聞号外を配布したり、公開初日に地元出身の出演者がトークイベントを行ったり――といった取り組みも行っている。
なかにはローカルすぎて、費用対効果が疑問視されるようなものもあるが、多くは作品の世界としっかりリンクしており、SNS等でネタにされて話題化しており、間接的な波及力は高いと言えるだろう。
メディアでも話題になるPR展開
PR活動も、奇抜なものが目立った。
公開に先立ち、出演者が埼玉・滋賀県知事への謝罪表敬会見を行い、両県知事から突っ込みを受け、メディアで面白おかしく取り上げられた。また、滋賀県の三日月大造知事は、定例記者会見で「日本の埼玉化には僕は反対」とコメントしつつ「映画が作られ、公開されるのであれば、徹底的に活用しよう」と述べており、定例記者会見もプロモーションの場として利用している。
公開初日の舞台あいさつには、滋賀県発祥の交通安全を伝える看板“とびだしとび太”(作品中に搭乗)に扮装した子どもたち104人が登場。また、埼玉県では1つの映画館で1日に20回、滋賀県では23回上映されているという事実をGACKT氏は「おかしなことになっている」とコメント。こうした演出は、多くのメディアで取り上げられた。
公開初日1位発進のニュースにおいても、同日公開の『首』『シチリア・サマー』をおさえて1位になったことがネタにされたり、埼玉県における興行成績は前作比154%、関西エリア(2府4県)では330%を記録したという、「ローカルネタ」も盛り込まれて報道されている。
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