最後の1店が閉店「ベッカーズ」を追い込んだ"5難" 37年の歴史に幕、ハンバーガー業界囲む厳しさ

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① ハンバーガー業界の熾烈な競争

マクドナルドを含むハンバーガー業界は、コロナ禍で浸透したテイクアウトやデリバリーのニーズをスムーズに取り込み、同時期最も好調な業界として知られていた。実際、2022年3月時点の業態別売上高で、2019年と比較して唯一プラスになったのはハンバーガーを含むファストフードの業態だけだ。

しかし、ハンバーガー業界の競争は熾烈で、勝っているのは王者マクドナルドだけだといっても過言ではない。それを裏付けるように、業界2位の店舗数を誇るモスバーガーは2023年3月期の連結最終損益が3億2000万円の赤字となり、業界4位のロッテリアはゼンショーホールディングスに身売りをするなど、芳しくないニュースが多い。

それだけではなく、コロナ禍で新たにハンバーガー業界に参入したプレイヤーの苦戦も続く。

鳥貴族ホールディングスのグループ会社が展開する「TORIKI BURGER」は鳴物入りでハンバーガー業界に参入したものの、店舗数が伸び悩んでいる。2023年8月に3号店として、関西初進出の「伏見稲荷 OICY ビレッジ店」を出店させたが、11月20日には渋谷井の頭通り店を閉店させるなど、一進一退の状況だ。

トリキバーガー
トリキバーガー(写真:筆者撮影)

また、「焼肉ライク」や「Italian Kitchen VANSAN」などを展開するダイニングイノベーションも、全国2000店を掲げて「ブルースターバーガー」で業界に参入したものの2年を持たずに撤退している。

ブルースターバーガー
鳴物入りで進出したが、あっさり撤退したブルースターバーガー(写真:筆者撮影)

ベッカーズも年々熾烈になっているハンバーガー業界の競争を実感していたはずだ。JR東日本クロスステーションは、おにぎりや駅弁なども手掛けており、ハンバーガーだけを展開しているわけではないからこそ、その生き残り競争をなおさら難しく感じただろう。

そもそもハンバーガー業界の競争は、なぜ激しいのかというと、マクドナルドの存在が大きい。同店が安くて、おいしいハンバーガーを提供することで、それを当たり前だと思う消費者が増えた。消費者の基準値が上がっている中、勝つには付加価値のある提案が欠かせない。これが、2つ目のメニュー提案力という問題につながる。

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