吉野家、持ち帰り特化店「急拡大」の本質的変化 牛丼はテイクアウトを前提とする食文化になるか

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吉野家
(最新の「37.5%」は、24年2月期の中間時点の数字。テイクアウトは女性客からも多く利用されている/編集部作成)

吉野家がユニークなのはテイクアウト専門店を充実させている点だ。これはコロナ禍で消費者に習慣のついたテイクアウトやデリバリーをテコに収益を拡大させるだけではない。未出店の地区へ新規の出店を拡大させる形態になっている。

つまり、人手不足で、好立地の店舗が探しにくいなか、吉野家のビジネス拡大のため、第2のカードに成長しているのだ。

テイクアウト専門店の出店を見てみると、2023年度第2四半期で5店舗から、2024年度第2四半期までで59店舗と相当に伸ばそうとしている。一部の報道では、2025年度末までには、さらに160店舗まで広げようとしている。

なお、吉野家は、先日の発表で2023年度第2四半期の業績が好調であったとしている。既存店の売上高は、吉野家ブランドで110.8%、売上高も112%、営業利益も3.7倍になった。セグメント別で見ても、国内も海外も回復している。

親子丼が好調で、牛丼も肉だく半額際など、消費者への訴求性を伸ばしている。また、吉野家は唐揚げにも力を入れており、先に説明したテイクアウトやデリバリーと掛け算すれば、次なるメイン収益になりうる。

吉野家の決算と、王将との「類似点」

また、吉野家は上記の流れで、先月の決算発表会で、年間業績について当初予想を大きく改善させた。

・売上高:1760億円(当初予想)→1810億円
・営業利益:46億円(当初予想)→68億円

ところで、ここで思い出すのが餃子の王将だろう。同社もコロナ禍でも、強さを見せつけた。テイクアウトの専門口を設け、これまで餃子の王将に行ったことのない消費者も、むしろコロナ禍で来店経験を積んだ。

もともと、餃子の王将は、吉野家とおなじく、1人客が多かった。さらに餃子の王将に多くの根強いファンがいた。これも吉野家と近い。また、餃子の王将では、品足したい人のジャストサイズ展開がうまかった。それもまるで吉野家のサイドメニューのように。

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