パウエル議長下で激減、FOMC決定への「反対票」 「全員一致」の決定は異例の長さで続いている

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米金融当局が過去1年7カ月にわたり進めているインフレとの闘いは難しい判断を伴うものだが、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)の投票結果からは、そうした困難をうかがい知ることはできないかもしれない。

過去11回のFOMC定例会合の政策決定を見ると、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が主導する政策に反対票が投じられたケースはゼロだった。金融政策や経済の方向性を巡る基本的な見解の相違や不確実性を踏まえると、全員一致の決定は異例の長さで続いている。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期にも11会合連続で反対票ゼロとなったことがあるが、パウエル議長はこうした全員一致の決定により、金融当局として一枚岩でインフレ抑制に取り組む姿勢を市場や国民全般に一段と強く示すことが可能となっている。

それは一方で、金融当局がグループシンク(集団思考)にとらわれているとの批判の高まりを招くことにもなりかねない。2021年にはインフレ加速が顕在化していたにもかかわらず、こうした意思決定の在り方で対応の遅れが生じたというわけだ。

元FRBエコノミストで、現在は米ハーバード大学行政大学院(ケネディスクール)教授のカレン・ダイナン氏は「米金融当局はインフレ率を当局目標に押し下げるとの一貫したメッセージを維持することが有益だと考えている」とし、FOMC内には「多様な見解があるが、そのコミュニケーションから受ける印象ではそうした多様さが目立たなくなっているかもしれない」と語った。

FOMCは10月31日-11月1日の前回会合で、米経済の予想外の力強さを裏付ける一連のデータにもかかわらず、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.25-5.5%に据え置くことを全員一致で決めた。ただ、21日に公表される議事要旨では、追加利上げが必要となる可能性についてさまざまな見解があったことが示されるかもしれない。

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