「1型糖尿病の息子」のため野球塾つくった父の決断 5歳で発症、右腰のポシェットが命綱

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ライトと投光器に照らされた練習場で自主練習に打ち込む。左奥の白い扉はイノシシ対策も兼ねている(写真:日刊スポーツ)

静岡支局勤務時代から東京の自宅との往復で何度も通り過ぎた東名高速「秦野中井IC」で初めて降りた。海老名SAと足利SAの間、神奈川と静岡の県境近くだ。

市街地から暗くなっていく道がどんどん細くなっていく。対向車と擦れ違うのがスリリングだ。周辺は田んぼか畑か…。暗いから分からない。ICから15分ほどで到着したのはTHBベースボールクラブ。昨年9月にポニーリーグに加盟した「THB秦野中井ポニー」が拠点とする野球塾だ。向かい側はダイコン畑だと、取材中に教えてもらった。

この夏全国大会初出場のTHB秦野中井ポニー

月明かりの下、THB秦野中井ポニーの池田照はティー打撃を繰り返した(写真:日刊スポーツ)

入り口は高さ2メートル以上の頑丈そうな折り畳み式ゲートになっている。監督の池田慶さん(47)が「万が一、イノシシが突っ込んできてもいいように、練習中は閉めているんですよ」といたずらっ子のように笑った。本当に出るらしい。

そして、目元と話し方が、TBSドラマ「下剋上球児」で鈴木亮平演じる越山高校の監督に似ている気がした。どん底状態の野球部が甲子園を目指す物語だ。「下剋上球児? いいですねえ」。福祉関係の会社を営む慶さんは午後4時に会社を引き揚げ、最寄りのJRの駅に塾生を迎えに行くのが日課だ。

野球塾というから最新の機器がそろった光景を想像していたが、元資材置き場のような約1000平方メートル(約300坪)の敷地に、ブルペンが3組、打撃ゲージが1組、それを囲むようにティー打撃が思い切ってできる高いネットが張り巡らされている。暗くなれば、投光器で照らす。そこで毎週火~金曜日の午後5時から同8時まで、数人の指導者の元で自主練習2時間、敷地内の教室でAIパソコンを使って1時間自習する。週末は地元の球場を借りてのチーム練習や、試合が組まれる。

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