ドンキ、白亜の新店舗が占う"次なる成長" "セレブの街"白金台に初の高級業態を出店

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かつてのシングル層や深夜客相手のドンキのイメージとは異なり、今や牽引役はファミリー層だ。迷路のような通路や圧縮陳列で買い物の楽しさを出すのが同社の店舗の特徴だが、今は通路が広くなり、特に毎日買い物する食品などのコーナーは見やすく歩きやすくした店舗が増えている。

インバウンド対策にも抜かりなし

さらにドンキが強みとするのが、訪日外国人(インバウンド)需要の取り込みだ。日本を訪れる外国人は、夕食を済ませた後に買い物に出掛ける傾向が強いという。その点、深夜営業で繁華街にも立地し、品ぞろえが豊富なドンキの店舗は格好の買い物スポットとなっている。

実際、ドンキでは夜9~11時の時間帯の買い物客比率が特に高い。外国人には化粧品や医薬品、ベビー用品のほか、高級ブランド腕時計などがよく売れているという。免税売上高構成比をみると、道頓堀店(大阪)が35%、国際通り店(沖縄)が31%、銀座本館(東京)が27%、新宿東口店が25%などとなっており、外国人比率が高いことがわかる。

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一代でドンキを築き上げた安田会長は、6月末にCEOを退任する(撮影:梅谷秀司)

小売業界の中でもインバウンド対策にいち早く着手し、全店で無線LANと銀聯カード決済を導入。外貨7通貨によるレジ精算サービスも試験的に始めた。今年初めには中国・北京に事務所を開設し、現地旅行代理店との接触を増やすことで、さらなる来店を促す取り組みをしている。

そんな中、一代でドンキを国内屈指の小売り企業に成長させた安田隆夫会長は、6月末にCEO(最高経営責任者)を退任する。イオンなど大手が展開してきたチェーンストアのアンチテーゼとして1978年に開店した「泥棒市場」では、処分品や裁判の差し押さえ品などを仕入れるなど、小売りに関する独自のノウハウを積んできた“異端者”だ。

創業者が去った後もドンキの成長は続くのか。その試金石が、今回オープンした白金台店であることは間違いない。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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