元軍人のCEOが軍隊で学んだ「意思決定」の極意 サバイバルで活用した「STOP反応」とは何か

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ところが午前3時に突然たたき起こされ、わたしたちのわずかな安らぎのひとときは終わりを告げました。小隊長がいきなりテントを引きはがし、わたしたちを寝袋から追い出します。隊長たちは寝袋を足で小突きながら何度も笛を吹き鳴らし、大声ではっきりと命令を発しました。

「3分以内に完全な戦闘装備で整列せよ。できない者はベースキャンプ送りだ。すぐに取りかかれ!」(軍隊用語の〝ベースキャンプ送り〞は失格を意味する)

同じ隊のメンバー20名全員がギリギリセーフで整列しました。真っ暗闇で肩を並べていると、隊長たちが静かにしろと言ってきます。彼らはわたしたちの背後にまわり、わたしたちの顔全体を覆うように布をかぶせて結びました。そして命令が聞こえました。

「これから単独任務についてもらう。今から3日間、きみたちは1人で知らない場所で過ごす。きみたちには次の物が支給される。空の水筒、グランドシート、長さ3メートルの糸、笛、ジャックナイフ、マッチ棒3本、鉛筆とノート、6切れ分のトイレットペーパー。以上だ」

森の中で1人ずつ車から降ろされた

最後の物に笑いそうになりましたが、ベースキャンプ送りの危険を冒す勇気のある者はいませんでした。准尉は任務についてさらに説明を続けます。

「森の中で1人ずつ車から降ろす。降ろされたら目隠しをしたままその場で100からカウントダウンしろ。ゼロになったら目隠しを外せ。その位置から半径30歩以内が作戦行動区域だ。区域外に出ることは禁じる。

今この瞬間から3日間誰とも話してはいけない。今言ったことに違反した者は、母親のもとに送り返す(ベースキャンプ送りの別バージョン、つまり失格)。緊急事態、または助けが必要なときは、続けて3回笛を強く吹け。では単独行動訓練を始める」

わたしたちがそのまま一言もしゃべらず待っていると、深夜の泥道に軍用大型輸送トラックが停車しました。目隠しをしたまま1人ずつトラックに乗りこみ、ベンチに座ります。通常は林道として使われている泥道を、トラックはゆっくり進んでいきます。デコボコ道で激しく揺さぶられること約20分。トラックが止まり、隊長が「デュプイ、降りろ!」と命令しました。

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