韓国「トコジラミ大発生」で住民が大慌ての実態 パンデミックならぬ「ピンデミック」で大わらわ

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この学生は、皮膚のかゆみ、蕁麻疹、発熱などの症状で受診したと訴えた。大学側が学生の部屋を調べたところ、ベッドのマットレスからトコジラミが発見された。大学の関係者によるとトコジラミが発生した部屋はイギリスからの留学生が夏休み中に滞在していた部屋だという。複数の専門家は、トコジラミが海外から流入した可能性が高いと分析した。

さらに10月下旬からは人口約1千万人が暮らす韓国最大都市ソウルでもトコジラミの発見が相次いでいた。11月2日にはソウルの賃貸住宅の部屋の壁やマットレスからトコジラミが見つかったほか、トコジラミが発見された部屋と近い別の3部屋からもトコジラミが確認された。多くの人が集まる施設はもちろん、一般家庭からもトコジラミが発見されると、もはや「安全な場所はない」と、トコジラミに対する「不安」が急速に広がった。

政府「トコジラミとの闘い」を宣言

前述の通りトコジラミは厄介な害虫であるものの、感染症を引き起こす可能性が低い虫とされ、韓国では「感染症の予防及び管理に関する法律」が定める有害害虫ではない。そのため政府にトコジラミの駆除などの対策を講じる義務はない。しかし、トコジラミが全国規模で発見され、社会問題になりかねない事態を受け、韓国政府は「政府合同対策本部」を設置(今月3日)、実態の把握と対応を急いでいる。

2014年以降の10年間で報告されたトコジラミ発見件数は9件にすぎなかったが、11月6日現在、政府の「合同対策本部」には全国17の自治体から30件を超えるトコジラミの発見情報が寄せられ、実際にトコジラミが確認されたのは17件だった。

人口が密集するソウル市も対策を急いでいる。ソウル市では、すでに25区のうち半数以上の17区でトコジラミの発見情報が寄せられている。ソウル市は緊急予算を編成し、宿泊施設などトコジラミの発見可能性が高い3175の施設に対する点検に乗り出した。

また、「オンライントコジラミ相談センター」を開設し、相談があった場合、直ちに保健所が現場に出動し、消毒や駆除を行うシステムを稼働している。ソウル市の関係者によると今月6日まで232件のトコジラミ関連の問い合わせがあったという。

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