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ライフ #M-1はじめました。

M-1の始まりは「低迷事業をなんとかしろ」だった ベンチャーよりベンチャー感にあふれる物語

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  • 塩野 誠 経営共創基盤(IGPI)共同経営者/マネージングディレクター JBIC IG Partners 代表取締役 CIO
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本書には西川のりお、島田紳助、松本人志というビッグネームから、チュートリアル、ハリガネロック、キングコング、フットボールアワー、麒麟などなど、今では有名人となった芸人たちが次から次へと登場する。若手時代の芸人の生の姿を知れるのもファンには魅力的だ。

しかしながら、本書の魅力は誰もがオワコンだと思っていた漫才を立て直すという使命を帯びた著者のリアルな姿だ。

著者は多くの芸人に会い、番組枠をもらうためにテレビ局をまわり、賞金のためにスポンサーを探して、人に何度も何度も頭を下げ、バカにされながらも前進していく。

「低迷するこの事業をなんとかしろ」と言われたことのある勤め人にはこの1年の冒険物語が深く刺さるに違いない。

「邪魔する者」も「助ける者」も赤裸々に

プロジェクトが成功すると「あれは自分がつくった」と言う人間が湧いてくるが、著者はそんな人間たちにも容赦せず、真実を赤裸々に語る。M-1というプロジェクトを邪魔する者も、助ける者もそのままに描かれる。そんな話が面白くないわけがない。

本書は著者の1人称で主観的に語られる物語である。著者が終わったと思っていた漫才が予想に反して面白かったことや、テレビで使ってもらえなくなった芸人の中川家の漫才に心を動かされたりと、著者の飾らない心情の吐露が面白い。

著者は漫才師が漫才のことをどう考えているのか知りたいと、漫才師たちと面談をしていく。漫才師は、本当は漫才だけやって食べていきたい、でもできない、若手もベテランも漫才に対する情熱は今でもある。そんな空気を感じていく。

この漫才復活プロジェクトはベンチャーよりベンチャー感にあふれ、事業再生や事業開発のドキュメンタリーとしても読める。

M-1がどんなアイデアから生まれたのか、プロもアマチュアも出られるのはなぜなのか、優勝賞金1000万円と言ったのは誰なのか、そんなことも明らかになる。

次ページが続きます:
【「やらせ」を提案されたことも】

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