菅前首相「ライドシェア、地域限定せず解禁を」 法改正、タクシー事業者への規制緩和にも言及

拡大
縮小

以下、番組での主なやりとり。

ライドシェア解禁…実現へのルール作り

菅義偉前首相:ライドシェアはだんだん避けて通ることができないようになってきた。外国人観光客の消費額は輸出に分類される。自動車産業に次ぐ産業に育っている。外国人観光客の移動の足が確保できないというのは経済的にも大きな損失になる。(ライドシェア解禁に反対の)タクシー会社には、タクシー会社の意見があるのは当然だ。ただ、自治体や政府が国民全体の(移動の)足に責任を持つのは当然のことだ。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):(ライドシェア)解禁反対の全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋一朗会長は(ライドシェアを解禁した場合)性犯罪が増加する可能性を指摘している。

髙橋正巳氏(スクラムベンチャーズ グループ最高執行責任者/元ウーバー・ジャパン社長):前提としてライドシェアは世界中で毎日数千万回という単位で利用されている。こういう議論も世界中でされて市民権を獲得してきている。今回の(性犯罪に関する)データに関しては二つの点が重要かなと思う。まず日米(の数字)を比較する場合、同じベースで比較することが重要で、前提が若干異なっている。日米の性犯罪の比率は一般的にだいたい40倍ほどアメリカの方が上回っている。実際ライドシェアでも同等の割合を超えるような顕著な増加はないことが今週の規制改革推進会議で提示されたデータ(でわかる)。もう一点重要なのが、車内や移動中に起きた性犯罪は重大だが、それ以外に、それ(ライドシェア)があることで、例えば、女性が夜道を歩かなくてよくなったことで防げた性犯罪もあると思っている。その両方の視点が重要だ。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):大きな方向性として、これからの日本の安全の問題は、技術で乗り越えていくのだと(いうことが重要)。これはタクシー業界に限らない。そういう大きな方針で考えていけば、犯罪にしても、車両の安全にしても技術でテクノロジーで、特にITで乗り越えていく、知恵を出していくという方向性でライドシェアを前に進めていかなければいけない。

松山キャスター:慎重派の意見として、ライドシェアを導入して事故を起こした場合、誰が責任を取るのか、その責任の所在がはっきりしないとの指摘がある。

髙橋氏:海外の事例では、基本的にプラットフォーム側とドライバーそれぞれが法的な責任を負っている。例えば、プラットフォーム側では、ドライバーを受け入れる際にバックグラウンドチェック、犯罪歴のチェック、身元確認、事故歴のチェックなどが義務付けられているところもある。保険加入も義務付けられている。ドライバー側にも、地域により差はあるが、追加で講習を受ける、保険に入る、車検をより頻繁に、年に1回、年に2回受けるというようないろいろな義務を課す。プラス、いま橋下さんが言ったITの力を使い、(タクシーと)同等以上の安全性を確保しているのが海外の実態だ。

(写真:FNNプライムオンライン)
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT