開店前に行列も「昭和の純喫茶」の知られざる魅力 「若者やインバウンド客」から人気を集める理由
難波さんがプロデュースしたイベントや商品の人気は高く、彼女が純喫茶の出店をアレンジした百貨店の催事には純喫茶ファンが押し寄せ、人気メニューの中には完売したものもあった。また飲食以外でも純喫茶ブームが市場を作っており、文具やアパレルなど、純喫茶をモチーフにした商品開発が多々行われている。
なぜ今、幅広い世代に純喫茶が人気なのか? 長きにわたって探究を続ける難波里奈さんに、近年の純喫茶ブームについて、お話をうかがった。
今やブランドとなった「純喫茶」
昭和を知らない若い層からも支持されている純喫茶だが、いったい何が彼らの心を惹き付けるのだろうか。
「確かに若い世代の間にも純喫茶人気は広がっていますね。私の本を片手に純喫茶巡りをしてくれる人や、イベントに来てくれる人にも、20代の若者が多いです。
ただしそこに若者特有の理由はないのではないでしょうか。純喫茶が持つ普遍的な良さが、若い人にも響いているのだと思います」
純喫茶の本質的な魅力が若者に発見された結果、現在のブームにつながっていると難波さんは言う。
「純喫茶は1960年代、1970年代を過ごした人にとっては懐かしさがある一方で、先入観なく純喫茶に出合う人にとっては、その魅力は新鮮に映ります。『素敵! まるで映画の中にいるみたい!』とワクワクする。
それぞれの世代の感じ方はありますが、そもそもの部分に純喫茶が持つブレないセンスの良さがあるからこそ、人は心動かされるのだと思います。
今、純喫茶は外国でも非常に人気が高まっています。台湾では地元の雑誌でも日本の純喫茶が特集されているくらいです。また虎ノ門の『ヘッケルン』はSNSを通じて海外で話題になって、今は開店前から行列ができているほどです。年代だけでなく、国籍も問わない多くの人にアピールできる魅力が、純喫茶にはあります」
単なるブームや懐古趣味ではない魅力があるからこそ、純喫茶はブランドになった。20年以上前から純喫茶に魅入られ、ブランディングに尽力してきた難波さんに、その魅力をひもといてもらった。
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