ロープウェー+モノレール?「Zippar」とは何者か ベンチャー企業開発、新たな都市型交通狙う
法令に関しても、こうした新しいカテゴリーの乗り物が登場したときには、どの法律に準拠すべきかが問題になる。モノレールに関しては、1972年に「都市モノレール法」が公布される以前は鉄道事業法(当時は地方鉄道法)にもとづいて建設されていたが、都市モノレール法の公布以後はモノレールを道路の構造物の一部として建設(インフラ補助制度=建設費用の一部を国が負担または補助)するケースが増えたため、原則として軌道法にもとづいて建設されるようになった。
Zipparに関しては、「現段階では、いったんは鉄道事業法上の『索道』に分類されている。というのは、自走式ロープウェーの導入には前例があり、約50年前に高知県で『五台山ロープモノレール』という自走式ロープウェーが開業したことがあり、その前例を踏襲している。しかし、我々の技術はどちらかといえばモノレールに近く、また道路上を運行することを想定しているので、実用段階においては軌道法に準拠すべきなのだろう」とレボンキン氏は説明する。
どれくらいの費用で導入できる?
さて、気になるのは導入費用だ。あくまでも概算としたうえで、「5kmくらいの路線を想定した場合、車両の導入費用も含め、複線で1kmあたり15億円程度になる」と試算しているという。道路上に建設し、土地の買収費用がかからないことが前提であり、また駅の造りによっては、もっと費用がかかることになるだろう。
この数字をほかの交通手段と比較するとどうだろうか。都市型交通の最近の導入例である芳賀・宇都宮LRT(次世代型路面電車システム)の総事業費は約684億円と公表されている。同LRTの路線距離は14.6kmなので1kmあたり約46.8億円である。もちろん単純に比較することはできないが、費用感でいえば、BRT(バス高速輸送システム)とLRTの中間の位置づけという印象である。
今後の実用化に向けた動きとしては、まずは「福島県の南相馬市にある『福島ロボットテストフィールド』内に、秦野の試験線(200m)よりも長い1km以上の試験線を建設し(2024年度完成予定)、より実用に近い形での実証実験を行うなどして、国交省の認証取得を目指す。また、並行して2024年7月までの廃止が公表されている上野動物園モノレールの代替となるモビリティーとして採択されることなどを目指す」という。
現在、秦野市のほか、新潟市、沖縄県うるま市、豊見城(とみぐすく)市などから引き合いが来ているという。レボンキン氏は、将来的には「公共交通機関の整備が遅れ、渋滞が社会問題になっている都市の多い東南アジア市場を積極的に狙っていきたい」との展望を語った。
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