ロープウェー+モノレール?「Zippar」とは何者か ベンチャー企業開発、新たな都市型交通狙う

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なお、試験線には急カーブもあるが、「曲線半径10mのカーブまで設置可能だ。Zipparは道路上に敷設することを想定しているので、実際の道路のカーブに合わせる必要がある」という。日本の軌道線の最急カーブは豊橋鉄道(路面電車)の半径11mであることからすれば、かなり柔軟な路線設計が可能になるだろう。

Zippar 急カーブ
急カーブ区間を走るZipparの試作機(編集部撮影)

登坂力に関しては、「ゴムタイヤを用いているので100パーミル(1km進むごとに100m上昇)までは実証済み」だ。箱根登山鉄道の最急勾配が80パーミル、アプト式(歯車と歯形レールをかみ合わせる方式)の大井川鐵道井川線の最急勾配が最大90パーミルであることを考えると、山坂の多い土地や観光路線にも需要がありそうだ。

目指すのは「オンデマンド」的な交通機関

では、こうした技術を用いて、具体的にどのようなサービス(運行)の提供を目指しているのだろうか。レボンキン氏は次のように話す。

「最終的には、単にA地点からB地点までお客様を運ぶサービスではなく、もっときめ細かに路線を張り巡らし、目的地まで自動かつ最適経路でお客様を運ぶオンデマンド交通のようなものを目指したい。最短で12秒に1台の間隔で車両(12人乗り)を運行し、1時間あたり3000人程度の輸送力を担える交通機関を実現したい」

車内とレボンキン氏
試作機の内部とZip社事業開発部長のレボンキン氏(筆者撮影)

試験線を走行する車両を見ると、そのようなサービスはすぐにでも実現できそうに思えてくる。Zipparに用いている技術は、すでに安全性が実証済みのロープウェーやモノレールなどをベースとしており、「空飛ぶクルマ」などと比べれば、実現に向けたハードルは低い。

しかし、それでも乗り越えなければならない課題は多いという。

例えば信号システムに関しては、2分間隔の山手線よりもはるかに高頻度での運行に対応しなければならない。レボンキン氏は「既存の信号システムだけでは対応しきれない部分が出てくるはずだ。こうした部分には、既存の鉄道とは異なる思想に基づく、安全性確保のアプローチが必要となる。自動車の車間維持、衝突防止、自動運転といった技術が有効になるだろう。既存技術の組み合わせのうえに、そういった異分野の技術を加えることで、我々の独自の価値をつくり上げていく必要がある」という。

Zippar ホーム停車中
最短12秒間隔の運転を目指すというZippar。信号システムは課題の1つだ(編集部撮影)
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