ロープウェー+モノレール?「Zippar」とは何者か ベンチャー企業開発、新たな都市型交通狙う

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Zippar
神奈川県秦野市の試験線を走行する「Zippar(ジッパー)」(筆者撮影)
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深刻化する運転士不足や渋滞の解消、路線の設置・維持にかかる莫大なコストなど、公共交通に関わるさまざまな課題を解決する可能性のある新しいコンセプトのロープウェーの実験が、神奈川県中西部の秦野市に本社を置くベンチャー企業で進められている。この都市型自走式ロープウェーは、「Zippar(ジッパー)」と名付けられている。

Zipparは、ごく簡単に言えば、ロープウェーとモノレールの技術を掛け合わせたような乗り物だ。ロープ(索)と車体が分離しており、自走する点でモノレールに近く、直線のみのロープウェーと異なり柔軟な路線設計が可能である。一方で軌道にロープを用いているので、既存のモノレールよりも簡易かつ安価に建設できるという。

具体的にはどのような乗り物なのか。秦野市にある開発元「Zip Infrastructure(ジップ・インフラストラクチャー)」(以下Zip社)の試験線での実証実験の様子を取材した。

始まりは「宇宙エレベーター」

Zipparは、どのようにして誕生したのだろうか。Zip社事業開発部長のレボンキン・マリオイアンカロスフェリド氏に尋ねると、同社代表の須知高匡氏(26)は「学生のときに宇宙エレベーターの研究をしており、その技術をほかの分野に転用できないかと考えたのが始まり」だという。

宇宙エレベーターと聞けば、SFの世界の話のように聞こえるが、これを実現しようとすれば、とてつもなく長い距離を走らなければならない。したがって、通常のエレベーターのように滑車を介してロープで上げ下げするのではなく、自走する必要がある。この自走技術を公共交通の分野に応用したのがZipparである。

Zippar ホーム
試験線のホームに停まるZipparの試作機(編集部撮影)
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