1日の長さにムラ?今さら聞けない「うるう秒」の謎 来年はうるう年だが、「4年に1度」とは限らない

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その結果、2009年以降は、それまでは内核部分で変動していた地震波の移動時間にほとんど変化がなくなっていたことから、過去10年間は内核の独自の回転がほぼ停止し、マントルと同じ速度で回転している可能性が示唆されました。

同じ結果は地球全体で観測されたため、研究チームは内核表面の局所的な変形による現象ではないと主張しています。

内核の回転は70年周期

さらにソン博士らは、1960〜1970年代の地震データと比較したところ、内核の回転は約70年の周期を持ち、約30年ごとに回転の向きを変えていた可能性があると提唱しています。これは、地球の磁場や1日の長さが70年周期を持っていることにも関連していそうだといいます。

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内核の回転は、外核の流体運動によって発生する磁場で推進され、マントルとの重力効果でバランスを取っていると考えられています。もっとも、内核が特別な回転を停止したとしても、災害に直結するわけではないと研究者らは語ります。

私たちが日々意識している1日の長さには、金属球である内核が深く関わっているようです。

最近では、地下核実験は国際的な批判があるため行われません。地球深部の研究を進めるためには、予測できない地震の発生に頼らざるをえず、この先の進展には時間がかかるかもしれません。

けれど、今後、内核の研究が進めば、地球内部が地球表層の気候や生命体にどのように影響を与えているかも、知ることができるかもしれません。

【ポイント】
・うるう秒が起こる原因は、地球の自転速度にムラがあるからである
・1日の長さは、内核の不規則な回転速度に影響されていると考えられている
・地球深部の状態は、地震波の観測でしか推定できないため、解明が難しい

茜 灯里 作家・科学ジャーナリスト/博士(理学)・獣医師

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あかね あかり / Akari Akane

東京生まれ。東京大学理学部地球惑星物理学科卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。東京大学農学部獣医学課程卒業。朝日新聞記者を経て、東京大学、立命館大学などで教鞭をとる。著書に、第24回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作『馬疫』(2021年、光文社)、『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)。分担執筆に『ニュートリノ』(2003年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007年、化学同人)など。

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