AI時代に仕事で価値を増す「人間らしさ」の正体 外資系コンサルが教える今後の重要スキル

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AIは与えられた問題を解くことを得意とするが、課題そのものを発掘する能力は乏しい。身の回りにある解決すべき課題は何かを見出し、人間とAIの特性を踏まえAIに解かせるべき課題・論点は何か、そして自身が解くべき課題・論点は何かを考える能力が、われわれには一層問われている。

仮に課題の発掘をAIができたとしても、人間がやるべきことはまだある。人間社会のルールや倫理判断などは、人間がやるべきだ。今のところ生成AIは「それらしい」受け答えはできるものの、それが本当に社会のルールに適合しているのか、倫理的に正しいことなのかは判断できない。むしろAI提供側の企業が「人間を使って」おかしな回答をしないようにさまざまな対策を講じているのが現状だ。仮にAIが進化し続けるとしても、人間はルール、そしてあるべき姿を自ら考え、問い続けることが必要だ。それができる人間の価値は今後も失われないと筆者は信じている。

手本となるミネルバ大学のアプローチ

あるべき姿を自ら考え、問い続ける力を養うにはどうしたらよいだろうか。生成AIがこれだけ話題になる以前から、世の中の流れを先取りして、「今」必要な教育を考え、提供している大学のカリキュラムがヒントになる。ミネルバ大学は「実践的な知恵を身に付ける」ことを掲げた、フルオンライン授業の4年制大学である。毎年2万人以上が応募し、合格率はわずか2%未満と世界最難関の大学といわれている。中には超一流大学を辞退して入学してくる学生もいる、と話題になった。

特徴的なのは、日本の大学のようにカリキュラムに沿っていわゆる「講義型」で教えるのではなく、批判的かつ創造的に思考し、効果的にコミュニケーションしながら他者と上手に協働する能力を開発することに重点を置いたプログラムを採用していることだ。インプットはすべて学生自身で事前に予習し、授業は学生同士の議論やグループワークを通じてひたすらアウトプットする。教授は講義をするのではなく学生のガイド役に徹し、適切なタイミングで学生にフィードバックする。

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